衝撃デビューの広島森下は白星逃すも「始まったばかり」…横浜DeNAラミレス監督は「エースになれるポテンシャル」と異例の最大級敬意
梶谷へのプロ第一球は外角へ140キロのカットボール。「勝負球」でも「カウント球」でも使える自信のボールである。だが、梶谷には、152キロを表示したストレートが真ん中に入り、綺麗にレフト前へ流し打たれた。”大学侍ジャパン”に選ばれていたルーキーも「緊張しました」と振り返る、不安な立ち上がりである。 しかし、味方の好守に助けられる。ラミレス監督は強攻策を選択し、2番の乙坂が、甘く浮いた初球を逆方向に弾き返したが、打球は運よく三塁のメヒアの正面へ。ドライブのかかったライナーをキャッチしたメヒアは、すぐさま一塁へ転送して、梶谷が帰塁できずに、ダブルプレーとなった。森下は「あのプレーで気持ちが吹っ切れました」と落ち着きを取り戻す。 2年連続の本塁打王、ソトには、縦にドロンと大きな弧を描く113キロのカーブを見せておき、151キロのストレート、142キロのカットをまじえて、最後はチェンジアップ。ワンバウンドになるボール球だったが、ストレートと変わらない腕の振りと、その落差に騙されたのだろう。ソトのバットは空を切った。 2回にも2本のヒットを許し一死一、二塁と得点圏に走者を背負うが、戸柱をまたボールゾーンに落とすチェンジアップで三振に取った。打線の並びを考え、8番の柴田を歩かせて、二死満塁としてから投手の平良を丁寧にカットで三振に仕留めるという冷静さもあった。 圧巻は勝利投手の権利がかかった5回である。4回、守備の乱れにつけこんで味方打線が奪ってくれた1点を守る。一死二塁の同点ピンチに梶谷を迎え、グイグイと150キロ台のストレートで押したのだ。梶谷が、そこにタイミングを合わせていると察知すると、ウイニングショットは、9キロ差で、わずかにズレを作った141キロの“宝刀”カット。スイングアウトである。続く乙坂には、この日、最速となる154キロのストレートでカウントを作って、またカットで連続三振。 7回には、もう球数が100球に届きそうになっていたが、ストレートは、まだ150キロ台をキープしていた。一死から代打の楠本には、外角へ152キロのストレートを投じて三球三振。柴田は、“宝刀“カットで連続三振に仕留めて、これが8個目の三振。 104球。森下は、7つの「ゼロ」をスコアボードに並べて記念すべきプロ初登板を終えた。 試合後、ラミレス監督が、「森下が代わればチャンスはあると思っていた」と打ち明けたが、手も足も出なかったのだから、それは本音だろう。