【新NISAメンテナンス術】“含み損銘柄の買い直し”で「生涯投資枠1800万円」の空き枠を増やす方法
新NISAには1800万円の生涯投資枠が設けられている。この上限までしか投資はできないが、売却することで枠を復活させることができる。年末を迎える中で、保有資産に関してチェックすべきポイントとは何か。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第121回は、「NISAの生涯投資枠」について。 個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さん
* * * 新NISAには、1800万円の生涯投資枠が設けられていますが、いまいちこの枠のルールや活用法についてはピンときていない人が多いようです。とりあえず満額になるのはまだ先と思って放置を決め込む人が多いようですが、しくみをきちんと理解することで、年末の保有銘柄のメンテナンスに役立つこともあります。
生涯投資枠が復活するしくみ
新NISAは、つみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万、合計360万円の年間投資限度額があります。ただし、毎年360万円を無制限に投資できるわけではなく、最大で1800万円までと決められており、これが生涯投資枠です。 ただし、つみたて投資枠だけの利用ならば、1800万円全枠を使えますが、成長投資枠だけを使う場合は、1200万円が上限になります。個別株に全振りしたい人も、つみたて投資枠を並行して使ったほうが有利というわけです。 生涯投資枠は、新NISA口座内で保有している資産を売却すれば、翌年に、投資取得額分の枠が復活します。たとえば30万円で買った株が50万円になっていて、その株を売却した場合は、翌年30万円の枠が復活することになります。売却価格でないところが注意ポイントです。
含み損を使った生涯投資枠の賢い活用術
年間投資枠の満額360万円を使い続けても、生涯投資枠が満額になるのは、まだ4年先になります。それまではとくに意識しなくてもよいかというと、じつはそうではありません。 今年の年間投資枠にまだ余裕があり、ここからとくに買いたい株やETFがない場合、含み損を抱えている銘柄をいったん売却して、買い直すと投資枠の消費が少なくなります。 たとえば、今年の年間投資枠がまだ100万円余っているとします。長期保有を念頭に100万円で買った銘柄が、70万円に下落している場合、いったん売却すれば100万円の投資枠が復活します。買ったあとすぐに同水準の株価で買い戻すと、70万円の投資枠を消費しますが、残り30万円の投資枠は空きます。売却せず持ち続けた場合は、100万円の枠を使った状態なので、いったん売却したほうが投資枠の節約となるわけです。 もちろん、同じ値段で買い戻せるとは限らないので、売却したあと、その株価より高く買い戻す可能性もあります。そのリスクを踏まえた上でトライしてください。長期保有目的であれば、数%のブレは許容するつもりで臨むのがよいかもしれません。 年間投資枠に空きがない場合は、2025年枠での買い直しになります。売却してから時間がたつと、価格差が開く可能性が高くなるため、なるべく買い直しまでの時間は短くするのがコツ。2025年の新NISA枠の取引スタートは、2024年12月27日(金)の約定分からなので、12月26日に売却して、翌日27日に買い戻すのが最短です。
今回のまとめ
・新NISA口座内の資産を売却した場合は、購入時の価格分の枠が翌年復活する ・含み損がある資産は、いったん売却して買い戻せば、生涯投資枠の節約ができる ・2025年の新NISA枠の取引スタートは2024年12月27日(金)の約定分から 【プロフィール】 藤川里絵(ふじかわ・りえ)/個人投資家・株式投資講師・CFPファイナンシャルプランナー。2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため活動し、DMMオンラインサロン「藤川里絵の楽しい投資生活」を主宰。本稿の関連動画がYouTubeにて公開中。
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