全身骨格50体! 国内最大の「恐竜博物館」:新幹線延伸で注目高まる福井の人気スポット
絶滅動物に生命の神秘を学ぶ
ここまで見てきて、空や海の恐竜がいないことに気が付く。「いえいえ、恐竜ではないので別のゾーンにいます」と松下さん。恐竜の定義をざっくり言うと「直立歩行に適した骨格を持つ爬虫(はちゅう)類」で、前足の皮膚を翼にして飛ぶ翼竜や、ヒレで泳ぐ海竜などは含まれない。案外、知らない人は多いのではないか。 恐竜研究は日進月歩で、色鮮やかな羽毛を持つ「鳥の先祖」や、自動車並みに足が速い「ダチョウ恐竜」の存在も明らかになってきた。定説の更新は『ジュラシック』シリーズなどの映画にも影響を与えており、博物館ではティラノ・ロボットに唇を付けるなど展示も進歩している。 2階「生命の歴史」ではさまざまな古生物に出会える。約5億年前に出現した三葉虫に始まり、恐竜時代の海竜や翼竜、その絶滅後に陸上を支配した哺乳類と続き、ヒトの骨格標本で締めくくり。不思議な姿の絶滅動物に心を奪われ、生命の神秘に思いをはせられる。
一大化石産地ならではの体験がめじろ押し
2023年にオープンした新館は“体感する”楽しみが満載。エレベーターホールの中央には学名にフクイと付く県の恐竜5種と鳥類1種のモニュメントが立ち、その先に広がる特別展示室では迫真の映像と音響によって白亜紀へのタイムスリップ気分が味わえる。また通路沿いのガラス張りの収蔵庫は、標本の保管状況など「博物館の裏側」が垣間見えるユニークな趣向だ。 日本最大規模の化石発掘地・勝山の真骨頂が、臨場感あふれる体験コーナーの数々。実物を使った化石の分別、実際に現場で使っている専用ツールでのクリーニング、ティラノサウルスの頭骨模型の復元、CT画像での非破壊観察と、気分はすっかり恐竜博士。「春から秋までは、山中にある恐竜化石の発掘現場に行く体験ツアーを毎日実施しているので、ぜひご参加を」と松下さんは呼びかける。当時の土に立てば、白亜紀の光景が心に浮かぶだろう。 恐竜博士を目指す子どもはもちろん、大人も驚きと発見がいっぱいの博物館。時間を忘れて夢中になること間違いなし。 取材・文・撮影=ニッポンドットコム編集部 <「福井県立恐竜博物館」詳細と写真(24点)は、ページ下部の関連記事リンクを参照>