子連れ再婚をした女性が「自分の子ども」を妊娠して愕然…そして襲ってきた「激しい不安」
ステップファミリーをめぐる問題
ステップファミリー(再婚家族、複合家族)という言葉が随分と社会に認知されてきたが、大切なことを社会が理解していないが故に、悲劇が繰り返されている。筆者はADRという民間の調停機関を運営しているが、ステップファミリーをめぐる問題も多く持ち込まれている。今日はそんな悲劇的な事例を紹介する(あるあるを詰め込んだ架空の事例である。) 【マンガ】「一緒にお風呂入ろ」母の再婚相手から性的虐待を受けた女性の罪悪感
「お母さんになってあげなきゃ」
ユカリは保育士として働く32歳だ。昨年付き合い始めた彼氏カイトは同い年だがバツイチで子どももいる。カイトの初婚は学生結婚。妻とは性格の不一致で離婚したが、その際、妻は海外でキャリアを積みたいと言い出し、カイトが当時1歳の娘チナツを引き取った。その1年後、ユカリとカイトは出会い、結婚に至った。 当初、ユカリは「ちゃんとママの役割を果たせるかしら」と不安だったが、チナツはとてもいい子で育てやすかった。そんな順調な育児に陰りが見え始めたのはユカリが妊娠してからである。ユカリの心の中で、「自分の子どもと同様にチナツを愛せるだろうか」という不安が日に日に大きくなったのだ。
起きてしまった「小さな事件」
これまで、チナツを我が子のように可愛いと思って育ててきたが、妊娠して初めて「本当の我が子への愛情」を実感し、チナツに対する感情との違いに愕然とした。そんなある日、小さな事件が起きた。 保育園のお迎えの際、臨月間近の大きなユカリのお腹にチナツが突進してきたのだ。チナツにしてみれば、迎えに来てくれた嬉しさや何となく最近感じていた寂しさから、ユカリに思い切り抱きつきたかったのだ。しかし、ユカリはお腹の子を守る気持ちから、チナツを払いのけてしまい、その勢いでチナツが転んでしまった。もちろん、急いで抱き起したが、その瞬間から2人の間に溝ができた。
悩みはさらに深くなっていった
思い悩んだユカリは、思い切って地域の子育て相談に足を運んでみた。そこで相談員から受けたアドバイスは、「とにかく抱きしめてあげて。そしたらきっと距離は縮まるはずだから」とアドバイスを受けた。 このアドバイスを受けて、ユカリの悩みはさらに深くなった。どう頑張っても自分のお腹の子に対する感情と同じ感情は湧いてこなかったし、今や考えすぎて抱きしめることすらできなくなっていた。