自身初のWEC予選に向け「準備に時間を費やしました」と平川亮。「少ない燃料と新品タイヤでアタックするのが楽しみ」
9月13日、WEC世界耐久選手権第7戦『富士6時間耐久レース』のレースウイークが、静岡県小山町の富士スピードウェイで開幕した。このホームコースでの凱旋レースに臨むTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、走行初日に行われた2回のプラクティスで7号車、8号車の両トヨタGR010ハイブリッドがトラブルなく周回を重ね、実りある初日とした。 【写真】顔面ケーキで誕生日を祝福される小林可夢偉 地元富士での7連勝と通算10勝目、さらにはその先にあるシリーズチャンピオン獲得を目指すTGR。チームは2週間前にアメリカ・テキサス州のオースティンで行われた第6戦と同様に、2台のトヨタGR010ハイブリッドから最大限のパフォーマンスを引き出すべく走行初日からセットアップ作業に集中。11時から行われたフリープラクティス1(FP1)はニック・デ・フリースが7号車、平川亮が8号車に乗り込み週末最初の走行を開始した。 これ以降ドライバーやエンジニアがマシン最適化を進めるために必要な情報を得るため、メカニカルと空力のセットアップなど、90分の間に多忙なプログラムをこなしていった。そんなFP1では平川がトップと100分の1秒差の好タイムを記録し、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーとシェアするクルマを2番手に押し上げた。また、姉妹車はマイク・コンウェイと小林可夢偉とコクピットをシェアするデ・フリースが7号車ベストタイムをマークし5番手となっている。 決勝レースはタイヤマネージメントが重要になる可能性が高いため、チームは午後のFP2でタイヤ摩耗やパフォーマンスに関連する分析へと切り替えることに。このセッションでは可夢偉と平川が序盤に予選シミュレーションを行い、この際に記録された自己ベストタイムで、上位10台が0.554秒の中に入る接戦のなか8号車が5番手、7号車は9番手となった。 初日の走行は各90分のFP1とFP2で終了。60分間のFP3は明日14日土曜の10時20分から行われる予定だ。その後、15時から予選と上位10台のみが進むことのできる二次予選のハイパーポールが行われ、今大会のポールシッターが決定する。この予選シュートアウトでTGRは5年連続、そして通算7回目となる富士でのポールポジション獲得を目指すこととなる。 ■「富士は1スティントがかなり長い」「悪くない一日だった」/TGRドライバーコメント ●小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー) 「GR010ハイブリッドでふたたび富士を走ることができて嬉しいです。我々にとってのホームレースであり、多くのファンの皆さまがサーキットに来て応援してくれる、特別な一戦です」 「今日は2回のセッションでクルマの最適化を図りました。ハイパーカー間の争いは非常に接近しており、現時点ではやや厳しい戦いになりそうです。今年は本当に競争が激しく、通算10勝目を目指すのは容易ではありません。すべてをうまくまとめることが必要です。明日はどうなるか見てみたいと思います」 ●マイク・コンウェイ(7号車ドライバー) 「ホームの走行でまずまずのスタートを切ることができたが、ショートラン、ロングランともにまだやるべきことがある。決勝レースへ向けてクルマのバランスを改善しようとしているが、そのためにはタイヤマネジメントが重要になりそうだ。気温がどうなるか、それによってどのような影響が出るか、見てみたいと思う」 「改善すべき点はまだいくつかあり、クルマからどれだけのものを引き出せるか、努力を続けていくよ」 ●ニック・デ・フリース(7号車ドライバー) 「富士での初日は、走りの面でも、学習という点でもまずまずの一日だった。ハイパーカー間の争いは非常に接近しており、厳しいものになると思われるが、今年はシーズンを通してずっとそうだから驚きではない」 「タフな戦いになると思われるので、今夜は気を引き締め、残りの週末に向けてすべてのピースをまとめる必要があると思っている」 ●セバスチャン・ブエミ(8号車ドライバー) 「チームのホームレースとなる日本にまた来ることができ、最高の気分だ。先週土曜日に来日して以来、パートナー様を訪問したり、素晴らしい体験をした。今日はクルマに戻ることができて嬉しいよ」 「2回のセッションは問題なく進み、タイヤコンパウンドの使い分けや、それをどうマネージメントするかに焦点を当ててプログラムをこなした。ここ富士は1スティントがかなり長いので、タイヤ摩耗は重要な要素になると思う。分析すべき多くのデータを収集できたので、そこから最大のパフォーマンスを引き出せる車両セットアップを見出すべく作業を続けていく」 ●ブレンドン・ハートレー(8号車ドライバー) 「TOYOTA GAZOO Racingの一員として日本に戻り、大きな歓迎を受けとても嬉しく思う。ここ富士で、我々のチームは良い歴史を刻んできているが、戦いは厳しさを増しており、優勝記録の更新は大きなチャレンジだ」 「今日は順調な一日で、クルマに問題はなかった。今のところ我々は最速には見えないが、決勝レースを見据えた車両セットアップを続けていて、悪くない一日だった。接近した戦いが続くだろうから、可能な限り最大のパフォーマンスを引き出すべくプッシュを続けなくてはならない」 ●平川亮(8号車ドライバー) 「日本に戻ってきて、富士でレースを戦えることが嬉しいです。この週末、私は予選を担当することになったので、今日はそのための準備に時間を費やしました。これまでのところ、トップには立てていませんが、まだ改善の余地はあると感じています。少なめの燃料で新品タイヤを装着し、予選アタックするのが楽しみです。母国レースですし、WECで初めての予選アタックなので特別な体験になると思います」 「決勝レースへ向けては、タイヤの摩耗が大きいと感じるので、そのマネジメントが大切になりそうです。今日は順調なスタートが切れたので、この週末は良い仕事ができると思っています。楽しみです」 [オートスポーツweb 2024年09月13日]