次世代の「Amazon SageMaker」や「Amazon Nova」が登場--「re:Invent」基調講演
データベース Garman氏はデータベースについて「これまで、ベストな価格かつパフォーマンスで提供しているし、今後も提供していく」と話す。同社ではリレーショナルデータベース「Amazon RDS」や、パフォーマンスやレイテンシーなどの要求の拡大に合わせてキーバリュー型データベースを展開している。 また、RDSのデータベースエンジンとして開発された「Amazon Aurora」は10周年になる。データベースには、高い可用性やマルチリージョン、低レイテンシーなどをかなえるサービスが求められているとし、「Amazon Aurora DSQL」のプレビュー開始を発表した。 Amazon Aurora DSQLは、サーバーレスな分散SQLデータベースサービス。一貫性を持ち、99.999%のマルチリージョン可用性、事実上無制限のスケーラビリティー、インフラストラクチャーの管理が不要など、一般的な分散SQLデータベースと比較して4倍高速な読み取り/書き込みを実現するという。 加えて、「Amazon DynamoDB」が提供している「Global tables」によるマルチリージョンでの「強い整合性モデル」をサポートしたと発表した。Global tablesは従来、古いデータを読み出すことがある「結果整合性モデル」で、考慮したアプリケーション設定が必要だった。強い整合性モデルでは、読み取ったデータが最新であることが保証されるモデルになっているという。 Amazon Bedrock 生成AIはアプリケーションを介する時の重要なコアコンポーネントになっている。生成AIアプリケーション構築基盤「Amazon Bedrock」は2023年に比べて5倍近く成長したという。多種多様な企業が、さまざまなLLMを活用して生成AIアプリケーションを構築している。しかし、そのユースケースに最も適するモデルを見つけることは難しく、専門知識があったとしてもコストや時間がかかってしまう、あるいは安価ではあるがケイパビリティーがそろっていないケースも少なくないという。 これらの課題を解消するためのAmazon Bedrockの機能強化が発表された。 「Amazon Bedrock Model Distillation」:Amazon Bedrockで「モデル蒸留(Distillation)」をサポートするという。大規模で高い能力を持つモデルは、レイテンシーやコストが高くついてしまうため、特定のユースケースにおいては特定のタスク・知識に対して高い性能を持つモデルの利用を可能にする。これにより、小型なモデルになり、高速でコスト効率が高くなるとしている。 「Amazon Bedrock Guardrails Automated Reasoning check」:モデルの応答がポリシーに準拠していることを数学的な手法で検証し、透明性を向上させる。最も高い精度を要求される用途に対して生成AIを適用可能にするセーフガード機能として利用できる。 「Multi-Agent collaboration」:全てのタスクを解決できるAIはまだなく、複雑なタスクを解決するために複数のAIエージェントをオーケストレーションすることを容易にする。複雑なニーズに対応するエージェントを迅速に構築・デプロイできる。 最新の基盤モデル「Amazon Nova」がAmazon Bedrockで利用できるようになった。Amazon Novaは、安価・低遅延でテキストに利用できる「Micro」、マルチモーダル対応で画像・動画・文章を高速に処理できる「Lite」、マルチモーダル対応で高い能力を備えており、速度とコストのバランスがとれた「Pro」、画像生成に特化した「Canvas」、動画生成に特化した「Reel」を提供している。 Amazon Q AWSは開発者の効率化を促進するため、生成AIアシスタント「Amazon Q Developer」を提供している。今回、Amazon Q Developerの変換機能が強化された。 .NETアプリケーションのクロスプラットフォーム化:「Windows」で実行されている「.NET Framework」アプリケーションを「Linux」を含むクロスプラットフォームの.NETに移植する作業を高速化する。作業を最大4倍高速化し、Linux化により最大40%のライセンスコストを削減できるとしている。 メインフレームのモダナイゼーション:現在メインフレームを保有しており、今後の展開に悩んでいる顧客が少なくないという。アプリケーションの既存資産を自動的に分類・整理し、ユーザーとの対話を通じてモダナイゼーションの計画を立案するとともにCOBOLからJavaへの変換にも対応する。 VMware環境の変換:VMwareで構築されたシステムをAmazon EC2ベースへ変換を促進。生成AIアシスタントがシステムの移行とモダナイゼーションを加速する。 Amazon SageMaker AWSでは、データベースサービス「Amazon Redshift」「Amazon EMR」などを提供しており、MLサービス「Amazon SageMaker」は10万以上のデータ処理に活用されている。Garman氏は「AIとアナリティクスの壁がなくなりつつある」と言い、データやAI、アナリティクス、カタログとガバナンスが統合されたインターフェースが必要になると話す。そこで、次世代のAmazon SageMakerが発表された。 「Amazon SageMaker Unified Studio」:Amazon EMR、AWS Glue、Amazon Redshift、Amazon Bedrock、「Amazon SageMaker Studio」で利用できるで利用できる開発機能やグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)ベースの機能などを統合した開発環境。ユーザーは、データとAIのユースケース全体で最適なツールを選択して利用できる。東京リージョンでプレビューを開始している。 「Amazon SageMaker Lakehouse」:Amazon S3に蓄積されたファイル群に基づくデータレイクやAmazon Redshiftのデータウェアハウス、サードパーティーのデータソースを統合して扱えるオープンデータアーキテクチャーを提供する。東京リージョンで一般利用を開始した。 また、Amazon SageMaker Lakehouseを使いやすくするため、外部のアプリケーションとAmazon SageMaker LakehouseをZero-ETLで統合する。外部のアプリケーションは、「Salesforce」や「SAP」「ServiceNow」「Zendesk」をはじめとする8つのアプリケーションと統合するという。東京リージョンで一般提供を開始している。 (取材協力:アマゾン ウェブ サービス ジャパン)