恋人に尽くす「ゴールデンレトリバー・ボーイフレンド」
しばらく前からSNSでは新たに登場した恋愛概念が話題になっている。今回は女性たちにとって朗報かもしれない。新しい世代にとっての理想の男性像はかつてのバッドボーイと正反対。従順で、親切で、気持ちに寄り添ってくれる男性だという。 犬は女性の最良の友とはよく言ったものだ。誠実、忠実で、愛情深く、いつでも快活。動物を愛する人にとって、犬は理想的なパートナーだろう。そんなわんちゃんたちのなかでも、見た目のよさと従順さでひときわ評判の高い犬種がゴールデンレトリバーだ。恋愛のあり方が一変し、SNSで話題になった概念に人々がすぐに飛びつくいま、Z世代の若い女性たちは、革のジャケットを羽織り、前髪をポマードでなでつけたバッドボーイとはかけ離れた、まったく新しいタイプの理想のパートナーに夢中になっているようだ。ガールフレンドに細々と気を配り、安定していて、付き合いやすい。そんなボーイフレンドを犬に喩えて「ゴールデンレトリバー・ボーイフレンド」と呼ぶらしい。親切で、穏やかで、忠実で、オープンマインドな彼らが、いま若い女性たちの間で大人気だ。
男性たちは新たなチアリーダー?
この用語がTikTokに初めて登場したのは2021年だが、テイラー・スウィフトとアメリカンフットボール選手のトラヴィス・ケルシーが数ヶ月前に公式に交際を宣言したのをきっかけに爆発的に広まっている。2023年11月29日付の英語版HuffPostに「テイラー・スウィフトが"ゴールデンレトリバー・ボーイフレンド"を手に入れた。いまや世界中の誰もが同じようなパートナーを欲しがっている」と題された記事が掲載された。「トラヴィス・ケルシーがスウィフトについて語る様子を見ると、彼はポップスターの恋人に深い愛情と、一途なまでの崇拝を抱いているようだ。ふたりは出会ってまだ日が浅いのだろうが、トラヴィスはさっそく恋人を盛り立てるチアリーダーになったようだ」と記事は伝えている。優しいボーイフレンドという役割を受け入れているのはトラヴィスだけではない。ゼンデイヤのパートナーのトム・ホランドもやはりこの「現代のケン」を体現しているという。 この用語のハッシュダグの投稿数は中国のSNSで2億8000万件近くに上っている。SNSの議論を信じるなら、「GRB」ととくに相性がいいのは、猫タイプの女性だという。つまり、猫のように内向的で独立心の強い女性「ブラックキャット・ガールフレンド」だ。一方が素直で他方がシニカルという対照性がカップルには理想の組み合わせなのだとか。 「ゴールデンレトリバータイプのボーイフレンドに惹かれる気持ちを理解するのは難しいことではありません」と恋愛コーチのハーレ・クインはHiffington Postに語っている。「優しくて、信頼でき、こちらの気持ちに寄り添ってくれる。自信家で自己主張が強いゆえにもてはやされるバッドボーイとは正反対ですが、恋愛関係が長続きするかどうかを左右するのは、慈愛と思いやりです」。そう言って、彼女は次のように付け加える。「この人とデートをしてみてもいいなと思わせる要素と、長く付き合うパートナーを選ぶときに決め手となることとの間には往往にして溝があるものです」。実際に「ゴールデンレトリバー・ボーイフレンド」は、健全な関係という、現代の若い女性たちが恋愛に求めるものを満たすあらゆる条件を備えている。いまは、昔のように強烈で破壊的な、情熱的な愛ではなく、調和と安定が重視される時代なのだ。