じつは、正六角形では、はじめの1枚で「強制的に決まってしまう」…驚くほどの並べ方ができる正方形タイル「無限の可能性」
ノーベル賞学者としても有名な天才物理学者・数学者のロジャー・ペンローズが、1970年代から半世紀にわたって探し求めてきた「ある図形」が話題になっています。 【画像】6月28日はパフェの日…じつは、思いもよらない「事実」 が潜んでいた その名は「アインシュタイン・タイル」。 2023年にようやく発見されたその図形とは、いったいどのようなものなのでしょうか? ペンローズが考案した「ペンローズ・タイル」を超える“幾何学上の大発見”について、ビジュアル重視でやさしく詳しく解説した『ペンローズの幾何学』が刊行され、たちまち大増刷と大きな反響を得ています。 パズル感覚で楽しむことができ、しかも奥深い「平面幾何」の世界を探訪してみましょう。 ※この記事は、『ペンローズの幾何学』の内容から再構成・再編集したものです。
図形の表面に「描いて」みる
前回の記事では、敷き詰める図形の形状のみについて話してきましたが、こんどはその図形の上に「何かが描かれているケース」を考えます。 描かれているのは、単なる絵や色かもしれませんし、あるいは線や文字かもしれません。実際には、すべて空白のケースはむしろ少なく、表面になんらかのものが描かれていることが多いでしょう。 話を簡単にするために、畳のような長方形の図形の上に、「あ」という文字が書かれているものとします。 この、正方形2個分の長方形を「畳タイル」とよぶことにしましょう。畳タイルを1枚置いた状態から敷き詰めていく場合、上図の左の4枚に見られるように4方向がありえます。ここでは、右から3つめのように角が合わさり、同方向で字が普通に読める置き方を基本形と考えます。 このような格子状の並べ方は、最も単純なものです。しかし、他にもいろいろな並べ方があります。
「正六角形」を並べる方法
ここでまず強調したいことは、同じ形状による平面充填模様は、1通りとは限らないという点です。ただし、1通りしかないものも多くあります。 たとえば、正六角形を並べる方法は1通りしかありません。形状だけに着目すれば、正六角形を1枚置いて平面を埋めようとすると、残りは自動的に(強制的に)決まります。 それに対して正方形では、並べ方は何通りもありえます。 仮に表面に書かれているのが「あ」という文字ではなく、上半分が濃い青、下半分が水色の正方形からなる畳タイルだったとしましょう。