理化学研究所などの研究チームが、炎症性腸疾患などの代表的な15の免疫疾患と、特定の遺伝配列「エンハンサー」との関係を明らかにした=理研の発表資料から

　炎症性腸疾患やぜんそく、関節リウマチなど免疫に関わる代表的な15の病気について、発症の原因となりうる約600カ所の遺伝配列を特定したと、理化学研究所や京都大などのチームが発表した。治療薬の開発につながると期待される。論文が5日、米科学誌サイエンスに掲載された（https://doi.org/10.1126/science.add8394）。 【写真】研究成果を発表する理化学研究所の村川泰裕チームリーダー（右）と小口綾貴子リサーチアソシエイト=東京都千代田区 　アレルギーや1型糖尿病など免疫が関わる疾患の多くは、詳しい発症のメカニズムがわからず、治療も難しい。一方で特定のたんぱく質を体内で増やす「エンハンサー」と呼ばれる遺伝配列の変異が発症に関わることがわかってきた。 　そこで理研の小口綾貴子（おぐちあきこ）リサーチアソシエイトらのチームは、免疫疾患に関わることで知られる血中のヘルパーT細胞に着目。健康な日本人3人から提供を受けたものを中心に、計約100万個の細胞について、独自に開発した手法を使って遺伝配列の働きと免疫疾患の関係を調べた。 　その結果、約600カ所のエンハンサーが15の代表的な免疫疾患の発症に関わる可能性があることがわかったという。