守護神に心無い「金出すから行ってくれ」 トレード通告に激怒…許せなかった中日フロント
12月25日未明に星野監督と2時間の会談…午後に移籍を了承
引退の2文字が大きくなっていた。「法元さんは『ユニホームが変わってもお前の投げている姿、また見たいなぁ』みたいなことを言ってくれたんですけどね……」。25日午前2時に牛島氏は星野監督の自宅を訪ねた。「話をしようと呼ばれたのでね」。お互いネクタイをしての正装で2時間ほど話し合った。「先輩として、監督として、個人的な意見とかも聞いた。感情的にはなりませんでした。自分の気持ちも伝えました。納得できないのはこういうところですとかもね」。 結論を出さずに星野邸を出た。その日の午後に牛島氏は会見して移籍を了承したが「星野さんは会場の後ろの方にいました。僕が何を言うかはわからないままね」。牛島氏がロッテ入団会見のために東京に向かう時、名古屋駅に星野監督が見送りに来た。「ありがとうございます、はおかしいと思ったので『落合さんのお迎えですか』って言ったら『バカもん!』って。それでもうわだかまりはないってことですよ」。 星野監督も、かわいい後輩の牛島氏をできれば出したくなかった。監督就任当初「牛島は先発で意外とよくやっているんだよね」と言い、中日に残していれば先発転向を本格化させることも考えていた。しかし、あの時はやはりロッテの主砲・落合を巨人にどうしても獲られたくなかった。動き出したら止まらなかった。それこそ断腸の思いでの牛島放出だった。 牛島氏は移籍了承の理由について「やっぱり抑えのエースは2番目、先発ローテーションのエースがNo.1。そのポジションになれなかった俺が悪かったのかなぁって考えた」という。中日・牛島からロッテ・牛島へ。気持ちを切り替えてトレードを発奮材料にすると決めた。新天地で「必ず成績を残す」と誓い、愛着があったドラゴンズから旅立った。
山口真司 / Shinji Yamaguchi