守護神に心無い「金出すから行ってくれ」 トレード通告に激怒…許せなかった中日フロント
口に出した引退「金出すからはないでしょ。やめますわ」
夜の名古屋観光ホテルには報道陣も詰め掛けていた。そんな中での通告だった。「『今すぐ返事しろ』って言われたんですよ。マスコミも待っているし、12月23日だし、記者会見もセッティングしていたのかどうかは知りませんけどね。そりゃあないだろうって思った。だから言ったんですよ。『僕らは商品ですよ。でも商品は商品ですけど、商品の前に人ですから、もうちょっと言葉ってありませんか』ってね。その日は考えさせてくださいと言って帰りました」。 3冠王3度(1982年、1985年、1986年)の落合に対して、中日は守護神・牛島氏のほかにレギュラー二塁手の上川誠二内野手、若手成長株右腕の平沼定晴投手、先発とリリーフのどちらもこなした左腕・桑田茂投手の4選手を放出。1対4というのも牛島氏のプライドを傷つけたが、球団はその日のうちに中山了球団社長らが場所を名古屋国際ホテルに移して、牛島氏が返事を保留しているなかでトレードを事実上発表した。 マスコミに騒ぎをキャッチされていたこともあってのことだったが、ニュースでも流れて、牛島氏にしてみれば当然、面白い話ではなかった。その上「球団から電話があって『トレードで行ってくれ、お前が行かなかったら小松を出さないといかん』と言われたので『それは俺には関係ない話』って言ったら『お金を出すから行ってくれ』って。これにカチンと来て、ちょっともめたんですよ。『金出すからはないでしょ。やめますわ』って」。 牛島氏は完全に態度を硬化させた。「今までの俺の貢献はどうなのとか、あんな痛い思いをして投げてきて、何の評価もしてくれないのってなるじゃないですか」。この段階では真剣にやめることを考えていたそうだ。12月24日。「(担当スカウトの)法元(英明)さんや(女子プロゴルファーの)森口祐子さんの旦那さんの関谷(均)さんとか、お世話になっている人がみんな家に来てくれて、いろんな話をしてくれたんですけど、僕はもう熱くなっていましたからね……」。