佐賀県の唐津市議選、ひしめく新人、なぜ? 変化の兆し、現職候補を上回る見通し
任期満了に伴う唐津市長選・市議選の告示まであと1カ月となった。定数28の市議選は、立候補予定者が現職16人、新人20人程度の見通しで、過去の選挙と比べても新人の割合が突出して高い。町村議会を中心に地方議員のなり手不足が問題となり、県内の市町議選でも無投票が出てくる中、唐津市では新人がひしめき、異なる様相を見せている。 市議会は現在、定数28に対し在職議員は25人。2021年の前回選挙以降に県議の補欠選挙と通常選挙があり、計3人が県議へのくら替えを狙い、辞職した。空席がある上、現職9人が引退の意向を示している。新人が12人以上になる見通しで、旧唐津市の1995年の市議選(定数30)で、11人の新人議員が生まれた以上の入れ替わりになる。 引退する9人のうち4人は、この95年初当選組のベテランで、引退議員の1人は「世代交代の波が来た」と話す。1市8町村による合併の過渡期を経て、全市一区となった2009年の市議選以降では、新人候補者数は09年7人、13年8人、17年9人、21年8人で推移。今回は従来の倍近い動きがある。 なぜ今回の選挙で市議を目指すのか。「地域から議員がいなくなるのが大きい」「以前から考えていたけど、現職との調整が付いた」。新人候補の半数近くが、引退などで現職がいなくなった地域や政党の“後継”とみられている。 一方で「現職が多く辞めると聞き、チャンスがあると考えた」と、現職不出馬の事前情報が判断材料になったと話す予定者もいた。中には「ここまで多いとは思わなかった」と自身が埋没しかねない状況に危機感を募らせる新人もいるが、それぞれ市政に問題意識を持ち、新人の多さを「市が変わるチャンス」と前向きに捉える予定者が多い。 「議員に立候補しやすくなります」。唐津市議会のウェブサイトのトップページにこう表記されている。選挙後の議員報酬の引き上げ(月43万8千円が46万4千円に)や女性や子育て世代への配慮などを列記している。新人予定者からは「以前に比べて出やすくなったのは確か」との声もあったが、多くは「報酬は関係ない」「今の仕事の方が給与はいい」と気にも留めていない。 新人の多さに、現職の1人は「新人はテリトリーにかかわらず動き回れる。現職はみんな『怖い』と思っている」と気を引き締める。唐津市長選・市議選は来年1月19日告示、26日投開票の日程で開かれる。(宮﨑勝、松岡蒼大)
宮﨑勝,松岡蒼大