「カネが欲しい時ばっかりゴマすりやがって...」父の日だけ義実家にプレゼントしてこなかった嫁を待っていた「想定外の難局」
タイミングが悪かった。美緒さん夫婦は今年に入ってマンションを買うことを決定し、これまでにいくつかの物件の内覧を済ませたそうで、そのことを知っていた義父は、資金援助を狙って、息子夫婦が今さらゴマをすっているのではないか、と考えたらしい。 「私、ついついこう言ってしまったんです。父の日に少し何かしたくらいで住宅資金を援助していただこうなんて、そんないやしくないですよ、と」 義父は失笑を漏らしてこう反撃してきた。
「いや、そもそも何もしてもらったこともないわけで、『少し何かしたくらいで』って言い方、おかしくない?と言われてしまったんです」 やはりそのことを根に持っていたのか、と思った美緒さん。美緒さんの胸の内を察したのか、義父はさらにこう付け加えてきた。 「俺は物が欲しいわけじゃないし、息子らに飯奢ってもらおうなんて思ってないの、とおっしゃいました。『気持ちの問題だ』と。急に父の日に何か、なんて言われると、下心疑うに決まってるだろ、というのがお義父さんの言い分です」 お酒も入っていた食事会で、ヒートアップしてしまった義父。本心や強がりがあいまって、口調はかなり厳しいものだったそうだ。
「お義父さん、引っ込みがつかなくなったのか、『父親なんてのは憐れなもんだぞ。散々金だけ出して、労われたり頼られたりするのは全部お母さんだからな』とまで言っていましたね」 父の日を軽視してきた結果、このように義父をいじけさせてしまったことに責任を感じたという美緒さん。母の日ばかり手厚くしていた事実を把握していなかった夫とも、帰宅後に口論となった。
「夫は、お義父さんの気持ちがわかると言っていました。うちの子供たちも、何かというとママがかわいそう、ママをいじめちゃダメ、などと母親の肩を持つと。 論点のズレたことを言い出したりして。そんな深い意味があって父の日のギフトをあげなかったわけじゃないので腹が立ってきて、ケンカ腰になっちゃいましたね」 義父はこの食事会の後、バツが悪くなったのか、より素直になれなくなっていった。 さらに怪しくなる雲行きの行方は、後編で詳報する。 取材・文:中小林亜紀