列車の“魅力度”なら負けていない!栃木県ご当地鉄道事情 新幹線に東武特急、どれに乗っていくか迷う?
■意外な要衝? 小山駅 いっぽうの両毛線は、その名の通り両毛地域を横断する東西の大動脈。栃木県内では栃木市や佐野市、足利市などを経て群馬県に入る。それらのターミナルでは東武鉄道の各路線と接続しているのも両毛線の特徴だ。 意外な要衝のターミナル・小山駅の次は、県都のターミナル・宇都宮。ここから分かれているのは天下の日光に向かうJR日光線。私鉄の日本鉄道によって開業したのは1890年と大変古い。それまで、宇都宮から人力車で5時間もかけて日光にたどり着いていた外国人たちは、日光線の登場でだいぶ救われたに違いない。
そして、奥日光を含めた日光のリゾート地としての発展に、日光線がどれだけ貢献したか。いまでは特急も急行も走っておらず、ローカル色が強い路線になってしまったが、歴史的な功績は色あせない。 宇都宮駅の少し北、新幹線と離れて走る東北本線の宝積寺駅からは東に向けてJR烏山線というローカル線も分かれている。 終点は路線名の通り烏山。江戸時代には烏山藩の城下町だった小さな町だ。烏山線では2014年から蓄電池駆動電車のEV-E301系が活躍中。当時JRで初めての、蓄電池電車の営業運転であった。
塩那丘陵を越えて那須野が原に出ると、新幹線と東北本線は邂逅、並んで走っている途中に那須塩原駅がある。東北新幹線の開業によって東那須野駅という小駅から装いを改め、従来の黒磯駅から取って代わって那須高原の玄関口の役割を担う。 ■宇都宮線の北限の駅 すっかりお株を奪われた格好の黒磯駅も、存在感は薄らいでいない。何しろ、東北本線の愛称「宇都宮線」の区間は黒磯駅が北限だ。電化方式が直流から交流に切り替わるポイントでもあり、黒磯以北では使用車両が交直流のE531系に。常磐線や水戸線と同じ青い帯を巻いた電車が走っているから、なんとなく違和感を覚えてしまう。
そして、東北本線も東北新幹線も、そのまま北に抜けて白河の関。そこから先は、いよいよ東北の旅である。 ……と、こうして終わってしまうわけにいかない。栃木県には、JR線だけでなく……というよりはJR線以上に充実した路線網を持っている事業者がある。東武鉄道だ。 東武鉄道の栃木県内の路線距離は埼玉県に次いで長い。何しろ、その名も東武日光線が県内の中央部を南北に貫いているのだ。 東武日光線は日光の中心市街地をめがけて走り、いまでは特急も多数走っている東武の本線級。さらにいえば、ローカル化したJR日光線に水をあけ、日光への観光輸送の主役になっている。