藤吉夏鈴×髙石あかりのバディが最高! 『新米記者トロッ子』と重なるアメリカ大統領選
『新米記者トロッ子』が訴える“ジャーナリズムとは何か”
ジャンルとしては、『映像研には手を出すな!』や『けいおん!』のような「文化系部活もの」に該当するのでしょうが、最終的に本作が訴えるのは「ジャーナリズムとは何か」という社会派なメッセージです。 筆者が特に面白いと思ったのが、本作の舞台である櫻葉学園高校の制服。最初、主人公が青色のリボンをしていて、文芸部の部長が赤色のリボンをしていたので、学年によって色が分かれているのかと思いきや、どうやらそうではなく、新聞部をはじめとする“普通科”の生徒たちは青いリボンをしており、エリートである文芸部員や“特進クラス”の生徒は赤いリボンをしているようなのです。 階級やイデオロギーによって、赤か青かを選んで身につける生徒たちは、さながら現在進行中のアメリカ大統領選の支持者たちのように見えました。普通科の生徒がいくら努力したところで特進クラスに入る手段がなく、普段使っている校舎すら違うという設定も、現代社会に蔓延る“分断”そのものです。 そんな社会の縮図ともいうべき櫻葉学園高校で、「文芸コンクール3連覇」という実績を打ち立てるため、審査員を買収して他校の候補作を不正に排除し、不都合な事実を書くマスコミ(新聞部)を脅迫する理事長。もともとは日大のタックル問題から生まれた本作は、現在世界中で起きているさまざまな出来事とリンクして見えます。 権力者の悪事には目を瞑って、日々をやり過ごすのか。それとも、真実から目をそらさず、真っ向から立ち向かうのか。最後には、藤吉夏鈴とともに立ち上がって叫びたくなる映画でした。新聞部フォーエバー!
花沢香里奈