2025年も「混沌」の日本政治、与野党の注目議員は? 政治ジャーナリスト・星浩さんが解説
2024年10月に行われた衆院選で、自民党と公明党の与党は議席数を減らし過半数を割り込んだ。日本政治が混迷するなか、2025年はどうなるのか。政治ジャーナリストの星浩さんが解説する。AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号より。 政治ジャーナリスト・星浩さんが選ぶ2025年注目の10人はこちら * * * 2025年の日本政治は、混沌とした状況が続くだろう。 石破茂首相が率いる自民党と公明党は24年10月の衆院選で少数与党に転落。過半数を確保するめどが立たないまま1月からの通常国会に臨む。夏の参院選に向けて、立憲民主党をはじめとする野党が攻勢を強めるのは確実。予算案や重要法案の可決、成立は容易ではない。 政権が行き詰まり、石破首相が退陣に追い込まれれば、自民党は後継の総裁・首相を選出しなければならない。有力視される一人は林芳正官房長官だ。24年9月の総裁選では、岸田文雄前首相が率いてきた宏池会を束ねて立候補。第1回投票で4位に食い込み、岸田内閣に続いて石破内閣でも官房長官を続投した。宏池会は解散したものの、党内のベテラン・中堅には支持者が多い。三井物産勤務を経て米国の連邦議会でスタッフとして働き、米国とのパイプは太い。防衛相や文部科学相、外相などで前任者が辞任した後の「リリーフ役」を務めた経験も。参院選を控え、自民党政権の「火消し役」としての期待がある。 斎藤健前経済産業相もポスト石破の首相候補だ。通産省(現経産省)の官僚出身。政策に通じているだけでなく、歴史の中の政治指導者の役割についても独自の論考を発表している。24年9月の総裁選では推薦人を集められなかったが、自民党内の中堅・若手にはファンが多い。ポスト石破を争う総裁選では、林、斎藤両氏に加え、高市早苗氏や小泉進次郎元環境相らも手をあげる可能性がある。 野党では、立憲民主党の大串博志代表代行兼選挙対策委員長と小川淳也幹事長が、野田佳彦代表を支える「助さん・格さん」的な立場だ。大串氏は大蔵省(現財務省)、小川氏は自治省(現総務省)の出身。官僚の限界を痛感して政治の世界に飛び込んだ二人は、若手議員の時からの盟友だ。大串氏は、長く野田氏の側近を務めてきた。政策立案能力が高く、選挙の実務にも通じている。小川氏はドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」に主人公として登場。香川県の美容院の息子が政治家になるまでのストーリーが共感を広げた。熱のこもった演説には定評がある。両氏が通常国会で石破政権を追い詰めて参院選を勝ち抜けるか。立憲民主党の独自政策を練り上げるとともに、国民民主党や日本維新の会など野党との協力関係を築いていけるかが焦点となる。