2025年も「混沌」の日本政治、与野党の注目議員は? 政治ジャーナリスト・星浩さんが解説
立憲民主党では、24年9月の党代表選に当選1回ながら立候補した吉田晴美衆院議員も新たなリーダーとして注目されている。21年の衆院選では東京・杉並区を中心とした選挙区で自民党の派閥領袖だった石原伸晃氏を大差で退けた。24年10月の衆院選で再選。旅客機の客室乗務員、経営コンサルタント、大学教員などの経験を踏まえて「多様性のある社会」をめざす。吉田氏の発信力をどこまで生かせるかが野田執行部の課題だ。 24年の衆院選青森3区で初当選した岡田華子氏も注目株だ。地元の高校を卒業後、北海道や広島県で学んで弁護士資格を取得。二人の子育てをしながら弁護士を続けてきた。選挙戦では「女性が活躍できる社会」を訴えた。青森3区で自民党以外の政党の候補者が当選するのは初めて。米ニューヨーク・タイムズ紙は岡田氏の当選を大きく取り上げ、「日本では長い間、女性の政治参加の道が狭められていた」「岡田氏の当選は働く女性に不利になっている日本の議会文化を変える機会になる」と書いている。衆議院の女性議員は、岡田氏を含めて過去最多の73人で、全体(465人)の16%に達している。国会での彼女たちの活動が日本の政治文化を変えていくことは間違いない。 国民民主党の古川元久代表代行と自民党の古川禎久元法相の「古古コンビ」も、25年の政局の動向をにらむ。東京大学の合格発表で隣り合っていた時からの友人。元久氏は大蔵省、禎久氏は建設省(現国土交通省)に入省。官僚生活を経て政治の世界に飛び込んだ。与野党の垣根を越えて交流してきた二人は最近、超党派の議員による「石橋湛山研究会」を結成。対中国外交の強化や財政再建策などを議論している。25年の政局では、古古コンビが与野党連携の軸になる可能性がある。 経済・金融問題では日本銀行の内田眞一副総裁の動きが焦点だ。植田和男総裁の「利上げ示唆」発言を受けて円が急騰した24年8月、内田氏が「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と明言。為替市場が円安に戻った経緯がある。植田氏の総裁任期は28年まで。内田氏が植田氏の後任の総裁に上り詰めるかどうかも注目点だ。経済同友会の新浪剛史代表幹事は、財政や社会保障について歯に衣着せぬ発言を続けている。自民党内に慎重論が根強い選択的夫婦別姓に向けた法改正などに対し、新浪氏がどんな発信をするかが注目だ。(寄稿) ※AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号