台湾、第2のTSMC目指すベンチャーが群雄割拠
■消費者向けサービスも日本に重点 デザインアイテムの越境ECプラットフォームのピンコイ(Pinkoi)もすでに日本市場でのマーケティング、決済・物流インフラの整備に10億円以上を投資するなど積極的です。現在、Pinkoiにとって日本市場はもっとも早い成長市場で、2021年から2023年にかけての3年間は毎年20%以上の成長を記録しています。 台湾最大のオンライン学習プラットフォームのハハウ(Hahow)も日本を海外進出の重点市場と定めています。個人クリエイターが有料動画レッスンを公開できるプラットフォームはいくつもありますが、ハハウはクラウドファンディング機能がある点がユニークです。講師は「こんな動画作ったら買ってくれる?」と提案し、一定数の購入者がいるとわかってから実際に制作を開始できます。
日本市場に進出する台湾ベンチャーも多いですが、それ以上に目立つのが台湾企業に投資する日本ベンチャーキャピタルの多さです。ジャフコ、ヘッドライン、ソフトバンクなどの大手ベンチャーキャピタルはこの数年、台湾ベンチャーへの投資を大幅に増やしています。彼らは資金だけではなく、日本進出のノウハウも提供しており、台湾ベンチャーが日本市場に進出する頼もしい手助けとなっています。 ここまで台湾ベンチャーの飛躍について、資本、人材・技術、市場という3要素から見てきました。最後の市場の項目で述べたとおり、台湾と日本のベンチャーエコシステムには相補性があり、双方にメリットがあります。この相補性に加え、政治的にも日本と台湾は歴史上、もっとも親密な関係にある点も追い風です。ですから、日台のベンチャーエコシステムが今後、多くのビジネスチャンスを生み出すと確信しています。
高口 康太 :ジャーナリスト