【毎日王冠】3歳馬シックスペンス〝辛勝止まり〟も理由あり ルメールの評価と次なるターゲットは?
[GⅡ毎日王冠=2024年10月6日(日曜)3歳上、東京競馬場・芝1800メートル] 6日、東京競馬場で行われたGⅡ毎日王冠(芝1800メートル=1着馬に天皇賞・秋の優先出走権)は好位4番手追走からゴール前でひと伸びしたシックスペンス(牡3・国枝)が優勝。年長馬との初対戦で2つ目のGⅡタイトルを手にした3歳馬の次なるターゲットはもちろんGⅠとなる。果たして2度目の挑戦でビッグタイトルを手にできるか? 出走14頭が獲得したJRA重賞は15に及ぶが、その格はすべてGⅡ~GⅢ。グレード制導入(1984年)以降で初めてGⅠ馬不在のメンバー構成となっただけに〝本番〟に主役として向かうには圧倒的なパフォーマンスが求められていた。その観点からすると1分45秒1の走破タイムは22年に当レースでサリオスがマークしたコースレコード=1分44秒1と比べて平凡。GⅢ勝ち(函館記念)しかない2着ホウオウビスケッツにつけたクビ差も何とも物足りないが…。レースの展開、そしてシックスペンス自身の〝仕上がり〟を考慮すると記録以上の評価が必要となる。 当レースが良馬場で行われた直近10回で前半5ハロン通過は57秒台が2回(最速57秒8=12年)、58秒台が2回。ホウオウビスケッツが刻んだ59秒4のペースは一線級のオープン馬に取っては〝逃げ切ってください〟と言わんばかりの緩流だ。事実、同馬は2着を確保。3~5着馬の4角通過位置も2・4・3番手と先行勢が上位を独占した。ならば全体時計が伸び悩んだことも、着差が広がらなことも当然だ。 この日は9Rまでに4勝(芝3勝、ダート1勝)、さらに最終レースも制して6勝と〝馬場読み〟が完璧だったルメールも先行有利はもちろん承知。名手が4番手で流れに乗る〝最善手〟を打ちながらも〝辛勝止まり〟だった、もうひとつの要因が状態面だ。「もう少し速い反応をすると思っていましたが…。伸び方はジワジワとでしたね。休み明けでしたしコンディションはトップではなかった」とルメールはあくまで前哨戦仕様の仕上がりだったこと素直に吐露した。管理する国枝調教師も「(プラス14キロの馬体重は)ひいらぎ賞との比較ではプラス6キロだし、ほとんどが成長分。ただ、中身の方はまだまだでした」と鞍上の見立てを是認した。それでいて古馬相手にGⅡを勝ち切った最大要因は「GⅠを取れるレベルの能力の高さと冷静さ」(国枝調教師)に尽きるといえよう。 その次なるターゲットは現時点では未定だが有力な選択肢が天皇賞・秋(10月27日、東京芝2000メートル)とマイルCS(11月17日、京都芝外1600メートル)。「ダービー(9着)は引っかかっていたようですし距離が長すぎた。この馬は2000メートルまでがベスト」と鞍上が言えば「左回りは問題なかったし1600~2000メートルなら」と指揮官。目指すべき頂が判明したキズナ産駒の具体的な目標発表が今から待たれる。
山河 浩