なぜフェンシング女子フルーレ団体は初の銅メダルに? 「日本はパンダチームだ」の叱咤 宮脇花綸「父と母という感じ」
「パリ五輪・フェンシング女子フルーレ団体・3位決定戦」(1日、グランパレ) 女子フルーレ団体で東晟良(せら、24)=共同カイテック、宮脇花綸(かりん、27)=三菱電機、上野優佳(22)=エア・ウォーター、菊池小巻(27)=セガサミー=の日本は3位決定戦でカナダに33-32で競り勝ち、銅メダルに輝いた。女子での日本のメダル獲得は個人、団体を通じて初めて。 【写真】悲願のメダル!きれいなお姉さん揃いの女子フルーレ団体 “パンダ”が“タイガー”になった。2017年に女子フルーレのヘッドコーチに就任したのが、強豪・フランスのフランク・ボアダンコーチ(51)だった。 最初に日本チームに言い放ったのは厳しい言葉だった。「今の日本チームはパンダチームだ」-。パンダのようにかわいい存在では、相手の脅威にはなれない。「お前たちが他の国から何て言われているか知ってるか?『かわいい』って言われてるんだぞ。タイガーにならないとダメなんだ」と意識改革を求めた。 当初は宮脇が「リオの時は出るのが目標っていうぐらいの感じだった」というように、世界との距離は大きく離れていた。ただ、精神力の成長と、高い技術を教わることで、次第にチームは結果を残すようになっていった。女子フルーレで3大会連続五輪出場した経験を持つ菅原智恵子コーチ(47)は「海外選手やすごく背の高い選手、すごく力強い選手に対して今までは一歩引いていた選手たちが、本当にぶつかりあっていくようになった」と変化を語る。 実際に、16年リオデジャネイロ五輪は出場すらできなかったが、21年東京五輪は6位。パリ五輪と同じメンバーで挑んだ昨年の世界選手権では16年ぶりの銅メダルを獲得し、一躍メダル候補となった。 「東京オリンピックは正直4強に入るのもしんどかったけど、オリンピックでメダルを取るというのが現実的になっていった」と東。五輪前には菅原コーチも「タイガーまではいっていると思います。今度はすっごい凶暴なタイガーになってほしい」と話すほどだった。 2人の存在について、宮脇は「フランクはぎゅっとやるときはやるし、ノータッチのところはノータッチ。(菅原コーチは)本当に細かいところ、食事や選手の体調や細かい相談に乗ってくれて、本当に父と母という感じ」と笑う。その“父”は「信じられない気持ち。彼女たちの成長はすさまじい」と絶賛。「ただし、ここでは終われない。金メダルまであと2歩だった。まだまだ伸びしろも未来もある」とさらなる“凶暴化”を願った。 銅メダル獲得で「タイガーになりきれた?」と問われると、東は「最初はずっと言われ続けていたけど、最近は何もそういう話がでなくなった」と成長を誇り、上野は「もうちょっとだと思います」と笑った。次はロスで、さらなる大暴れを演じる。