インボイス制度の「つまずきやすいポイント」「理解しておくべき基本」とは? NG例付きでやさしく解説
2023年10月1日からインボイス制度が始まった。制度の導入に伴い、免税事業者のうち111万件ほど(※1)が、すでに適格請求書(インボイス)発行事業者の登録申請を済ませている。 しかし、免税事業者が課税事業者に転換した後の対応については、いくつか注意すべきポイントがある。そこで、インボイス制度開始に伴って適格請求書発行事業者になった企業が理解しておくべき業務やつまずきやすいポイント、小売事業者が課題に感じやすい点について、インボイス管理サービスなどを手がけるSansanの柘植朋美Bill One事業部 チーフプロダクトマーケティングマネジャーが前編・後編に分けて解説。 今回の前編では、インボイス制度対応の注意点と負担を減らすためのポイントをひもとく。 ※1......財務省発表の推計値。9月15日時点の登録処理割合をもとに算定
インボイス制度に伴い、事業者が迫られる対応とは?
「適格請求書等保存方式」――いわゆるインボイス制度は、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式のこと。一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)を売り手が買い手に発行し、買い手が適格請求書を保存することで、消費税の仕入税額控除が適用されるようになる。裏を返せば、適格請求書が発行されない取引にかかる消費税は、原則として仕入税額控除を受けることができない。 免税事業者はこれまでと同様に消費税を納める義務がない一方、適格請求書を発行することはできないため、免税事業者から購入する側(請求書受領側)は仕入税額の控除ができず、納める税金が多くなってしまう。 そのため事業者は、取引先との関係性などを念頭において、次の2点を検討する必要がある。 ・課税事業者に転換してインボイスを発行するか ・このまま免税事業者として事業を続けるか もし免税事業者がインボイスを発行するため課税事業者に転換する場合は、事前に登録手続きが必要だ。ここからは手続きのフローおよびポイントを説明する。