マンション購入後、営業担当からの「虚偽の発言」が発覚…それでも〈契約解除は不可能〉な“厳しすぎる現実”【弁護士が解説】
(2)録音やメール等の客観証拠が存在しない場合 上記記載のとおり、錯誤による取消しを訴訟等で主張するためには、「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」に該当すること、「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていること」を証拠に基づいて証明する必要があります。そして、客観証拠は証拠としての価値があり、裁判所も客観証拠を重視します。もっとも、客観証拠が存在しなくとも、尋問等の法廷で発言する証言も証拠となります。 しかし、法廷で発言する証言については、裁判所がその証言の信用性を客観証拠と整合するか否か等の観点から吟味することから、客観証拠が存在しない以上、訴訟等で相談者の主張が認められる可能性は低いと考えられます。 (3)誤った情報提供による損害賠償を請求できるか否か 不動産の売主は、買主に対し、不動産に関する重要な事項について正確な情報を提供して適切に説明すべきであり、誤った情報を提供したり不適切な説明をしたことにより、買主が当該売買契約を締結するか否かの判断を誤らせることがないよう配慮すべき信義則上の義務を負っております。 したがって、当該マンションが省エネ等住宅に該当することが当該売買契約をするにあたって重要な事項に含まれると認められる場合は、上記信義則上の義務違反を理由として、不法行為に基づく損害賠償を請求することができます。
メールやLINE等で証拠化を
訴訟等の法的措置を取るためには、証拠が極めて重要となります。 少額の売買であればともかく、不動産売買等の高額な売買契約では、契約書や重要事項説明書等の客観証拠が存在するのが通常です。そして、裁判所は客観証拠を重視する以上、客観証拠と異なる主張をするためには、それを覆す重要な客観証拠等が必要となります。 したがって、売買契約を締結するにあたって、少しでも疑義が生じた場合は営業担当者に確認すると共に、その内容を証拠化すること、例えば、契約書にその旨明記するよう求める、明記することを拒否された場合は、メールやLINE等で証拠化しておくことが重要です。 石原 幸太 弁護士
石原 幸太,ココナラ法律相談
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