【ソフトバンク】直近3年わずか3勝の武田翔太 1000万円単位の渡米費即決「先行投資」
このままでは終われない。ソフトバンクの武田翔太投手(31)が7日に福岡市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の推定年俸1億5000万円プラス出来高でサインした。 【写真】会見では笑顔も見せた武田 昨年12月にリハビリとトレーニングを兼ねて渡米していたため、大トリでの越年更改となった。プロ14年目となる今季は、2021年オフに結んだ4年契約(変動制)の最終年。昨年4月に慢性的な痛みに苦しめられた右ヒジにメスを入れた。トミー・ジョン手術を受け、競技復帰までは約1年2か月。昨季はキャリア初となる一軍登板なしに終わった。 だが、復帰プログラムを順調に消化し、今月中には傾斜での投球を再開する予定だ。「復帰できるのかという不安と毎日戦っていた」。4年ぶりの優勝に貢献できなかったふがいなさ、野球を失う恐怖に耐えるシーズンだった。 通算66勝、17年のWBCでは小久保ジャパンの一員として日の丸を背負った。キャリアは尻すぼみとなり、直近3年間でわずか3勝。じくじたる思いで迎えた契約最終年、球団やファンに対する恩返しの思いは人一倍だ。 強がるように「先行投資です」と笑った。年末まで10日間ほどの日程で渡米。昨季ドジャースの開幕投手を務めたグラスノーらが通うトレーニング施設で汗を流した。「アメリカでも最先端と言われるところ。学ぶことがすごく多かった」。再起への思いから当初の計画を急きょ変更し、9日からの再渡米を決断した。前回の出費だけで数百万円。妻子を伴い、春季キャンプ直前まで滞在する今回の費用を合算すれば、たったひと月で1000万円を超えそうだ。 「気を抜いたら、復帰が遅れる」。この日の契約更改前、武田の姿は福岡市内の自宅から車で1時間以上かかるファーム施設にあった。時計の針は午前6時。満足いくまで体を動かし、慌ただしくスーツに着替えて球団事務所へ向かう表情には不退転の覚悟がにじんでいた。 トミー・ジョン手術を経て、復活を遂げた投手は多い。「160キロを投げられるように。(米国へ)行ってきます」。どん底からのV字回復をあきらめてはいない。
福田孝洋