『占拠』シリーズはなぜ大ヒットした? 『潜入兄妹』Pが語る、話題を生むドラマの“仕掛け”
“視聴者の声”はドラマ作りにどう影響する?
ーーそうした仕掛けもあり、ネット上で大きく盛り上がっているのはSNSを見ても分かりますし、私たちが作っている記事の反響からも肌で感じているところです。そうしたSNSやネット上での盛り上がりは、地上波の視聴率とどういう関係があると感じていますか? 尾上:正直僕も正解はまだよく分かっていないです。おそらくここ5年、10年は過渡期な気がするんです。ネットで盛り上がれば地上波も盛り上がるのかと言えば、どこまでリアルにリンクしているかまでは読み切れない部分があります。いろいろ戦略を練ったり考えたりしますが、やはり立ち返って、面白いものを作るしかないと思います。みんなが観て面白いと思ってくれるものを作るしか、この相関関係を解くものはないんじゃないかなと思ってます。 ついに第1話本編映像60秒!初回の見どころ詰め込みバージョン!見逃すな!!土ドラ10『潜入兄妹』10/5スタート ーーさらには、視聴者の声がダイレクトに届きやすくなっていますよね。それこそ放送中でも視聴者の意見を作品に反映できてしまうくらいの距離感だと思います。 尾上:自分の中のフィルターを持っていなきゃいけないなと思います。全部観ていたら“本音”というか、見たくないものまで見えてしまいます。 ーーそれを受けて、放送中でも何かを変えていくことはしますか? 尾上:いや、基本的にはあまり変えないです。話の根幹を変えたりしてしまうと、ちょっともうわけがわからなくなっちゃう気がして。あくまで自分たちが面白いと思うことをやる。どこかで基準を決めていないと、番組が変な方向に行くと思うんですよね。なので盛り上がりとして冷静に見つつ、こうしたらもっとみんなが楽しんでくれるんだな、という参考にはなっています。 ーーなるほど。 尾上:なので、視聴者の反応にあわせて変える部分としては、宣伝手法はあるかもしれません。 ーー『占拠』シリーズといえば宣伝も特徴的でした。先にも話があった通り制作陣が楽しんで作っていることに加えて、宣伝チームも楽しんでいるというか、後半になるにつれて少し遊び過ぎなくらいのニュースリリースも多かったと思うのですが(笑)。 尾上:いやもう基本的に我々がやりたいことをまずやった上で、宣伝チームも「これならこうできるんじゃないか」と動画や宣伝施策を持ってきてくれるんです。それで「面白いですね」「全然行きましょう!」という形で。もちろん番組の世界観を壊す、壊さない、という線引きは繊細なところだと思いますが、そのバランスは僕が判断するしかないので、そうやってきました。だから『占拠』シリーズは“遊び場”を作った感覚になっていて、制作陣みんなが「これで遊べませんか?」みたいな感じになっていたのはすごく良かったです。遊び心みたいなものを、ドラマの中で作ることが大事かなと思っています。 ーー『占拠』シリーズは作品的な成功とともに、宣伝的な成功も大きかったですね。どのメディアや視聴者も反応したくなる施策が多かったです。 尾上:そうですね。皆さんがどんどん盛り上げてくださった部分が大きいと思います。