『占拠』シリーズはなぜ大ヒットした? 『潜入兄妹』Pが語る、話題を生むドラマの“仕掛け”
エンタメと社会問題がクロスする
ーー今回の『潜入兄妹』で一番キーとなるコンセプトは何ですか? 尾上:『占拠』シリーズはタイムリミット感があって、何分までにやらないと人が死ぬという感じがずっと続いていました。今回はジリジリとした、バレたらアウトという少し異なる緊張感を出したかったんです。それと、詐欺や犯罪って最近また増えていて、若い子たちがすぐ加担してしまったり、ネットの中で騙されてしまったりすることがあります。「お金とは何なのか」「豊かさとは何なのか」。そういうことを根底にテーマとして走らせたいなと思っています。 ーー『大病院占拠』でもコロナ禍を意識した設定であったり、リアルタイムな社会問題を描いていますが、それは何故なのでしょうか? 尾上:まずは王道エンターテインメントとして面白いものを作りたいというのが第一にあります。ただそれを設定とか動機とか説得力を持って観てもらうためには、社会問題とか、みんなが抱える悩みとか、そういうものが根底にないと何も残らないんじゃないかと思うんです。 ーー『潜入兄妹』では“闇バイト”的なことですね。 尾上:なんでそんなことに簡単に手を染めてしまうんだろうとか、普通に考えたらそれで一生終わるわけで、バレることを考えたら絶対にやらないじゃないですか。でも、どういう手口で、どんな簡単なことで、人はすぐ犯罪に手を染めてしまうのか……。そしてそれで得られるお金は何のために使うんだろうか……。そういうものがうっすらと香ればいいと思っています。 ーー『潜入兄妹』は、『占拠』シリーズに続き毎週重要人物が明かされていく仕組みです。これはネットで盛り上がるので、ある種の発明だと思っているのですが、ドラマ全体として盛り上がる仕掛けはありますか? 尾上:ありがとうございます(笑)。キャストが誰かというのは、もちろん大きな興味を持ってもらえたら嬉しいです。それ以外にも意外な展開を重ねていく構造になっているのですが、結構騙し合いになってくると思うんですよね、詐欺集団の話なので。誰がどこでどう騙されているのか、リアルタイムで観て、真相を知って、もう1回観返したくなるような構造に作っています。ぜひそういうところに注目していただければと思っています。 ーー今後作ってみたいドラマや、もっと発展させていきたいものはありますか? 尾上:やりたいことはすごくいっぱいあるんですよね。だから、いかに王道路線というか、エンターテインメントとして楽しめるものの裏に社会的なテーマを忍ばせるかというところで、作品をどんどん作っていきたいなと思っています。
間瀬佑一