【全国高校ラグビー予選】富山県決勝は富山第一が富山工業に39-5で勝利。6大会連続16回目の花園出場へ
11月4日、花園富山県決勝が富山市岩瀬スポーツ公園でおこなわれた。富山第一(以下、富一)と決勝進出は13大会ぶりの富山工業(同、富工)が対戦。両校の決勝戦は9度目となった。 この日、富山市内は気温が27度近い夏日に。西南から吹く4メートル近い風も体をあたためる中、富一が風上を選択した。 4分、その風をうまく利用しパントを敵陣へ蹴り込むと、ボールは幅20メートル近いインゴールへ。チェイスした右WTB加藤大雅(1年)が押さえ、先制のファイブポインターになった。 4分後、富一はグラウンドを広く使いフェーズを重ね富工ゴールへ迫る。最後はFL越智伊織(2年)が左中間インゴールへ運び、12-0とした。 昨年秋の新人戦決勝は富一38-5富工、今年の春季大会決勝も富一38-7富工と富一が勝利していた。富工はサッカー経験者のSO桑本蒼也主将(3年)のキックで敵陣へ入り、チェイスでターンオーバーを狙うゲームプラン。 前半は風下でやや不利な展開だったが、それでも12分、PKからラインアウトを選択し、しつこくフォワード周辺で攻める。最後は桑本がラックからボールを持って仕留め、12-5と迫った。
しかし富一は20分にCTB松田直幸(2年)のキックリターンで敵陣22メートルへ入ると、双子のWTB村藤将(3年)がトライラインを越える。村藤は2分後にもインゴールへ転がったボールを押さえ、2トライをマークした。前半終了前にも1トライを加え、27-5で後半へ。 後半最初の得点も富一。5分にFB平内陽(2年)が5点を追加する。平内は31分もとどめの連続トライで勝利に貢献した。 富工は後半ラスト10分、敵ゴール前で何度も攻撃を仕掛けたが、自らの反則で機会を逸した。 勝者、富一の林昂慶監督は淡々と語った。「今年、何度も試合をしている相手。お互い手の内はわかっている。ボールを運ぶ展開でガチンコ勝負をしたい」。その通り、自陣からも積極的に継続し得点を奪った。 主将のHO一瀬正太郎(3年)は花園を見る。昨年度は1回戦でノーシードの強豪、京都成章とあたり12-72と大敗。「花園は後半に出場しました。全国は県レベルと比べものになりません。走り切れないといけない。後輩たちに経験を伝えていきます」。 敗者、富工の北瀬正志監督は異色だ。石川県出身、楕円球には大阪市立大で初めて触れた。首都圏の企業へ勤務しながらクラブの強豪、神奈川タマリバクラブで続けた。 全国クラブ大会でも活躍し、10年前に教員の道へ。だからこそ高校で初めてラグビーを始める子供たちを大事にする。実際、富工メンバー25人中、中学までの経験者は2人。富一は15人が名を連ねていた。 「来季は2年生が5人しかいません。必死で勧誘して入部した1年生22人を育てていきます」 (文:見明亨徳)