テロから乗客守れ 万博控え 警察、消防、駅が合同訓練、和歌山県田辺署
大阪・関西万博の開幕を来年4月に控え、和歌山県警田辺署は20日、田辺市湊のJR紀伊田辺駅で、市消防本部とJR西日本との合同で、国際イベントを見据えたテロ対処訓練をした。負傷した利用客の救護や避難誘導、犯人の制圧など連携をしながら対応力の向上に努めた。 【地震慌てず避難 世界津波の日で訓練、和歌山の記事はこちら】 田辺署員や県警機動隊員、市消防本部の署員、JR西日本の社員ら計約65人が参加し、それぞれ乗客役や犯人役なども務めた。 駅に到着した普通列車(2両編成)で、何者かに化学薬品がまかれて複数の乗客が体調不良を訴えている状況と、駅のホームでナイフを持った男が利用客を襲ったという二つの事案を想定した。いずれも、駅員が通報するところから始めた。 JR社員が乗客の避難を誘導。駆け付けた消防署員は、何らかの化学薬品が使われたとして、防護服を着て意識不明の負傷者を救出した。県警の警備部機動隊員も化学防護服を着用し、薬品を調べて回収、電車内を除染した。 ナイフを持った男を捕らえる訓練では、駅員がさすまたや防護盾を使ってナイフを持った男をけん制し、消防署員が負傷した客を素早く担架に乗せた。 田辺署の中峰恵也署長は「お互いに顔の見える関係を構築、強化するために訓練を決めた。今後もより実践的な訓練を積み重ねて、テロ対処能力の向上に努めたい」、紀伊田辺駅の東耕太郎駅長は「明確な対応課題を感じた。関係機関と連携し、お客さまと社員の命を守れるように行動を取っていく」と話していた。
紀伊民報