多くの人が誤解している「性格の正体」…ポジティブ思考、ネガティブ思考をつくる「脳の2大性質」
「苦手意識」も後天的につくられる
たとえば大勢の人の前で、スピーチをしたとします。がんばって準備したのに失敗して恥ずかしい思いをしました。笑われたり、バカにされたりする。 そんな経験があると、「大勢の人の前で話す=怖い!」と脳は学習して、「大勢の前で話すのが怖い」=「自分の性格」というパターンができあがります。 すると、人の前に立つだけで緊張するようになったり、不安や恥ずかしさを感じたり……そういったことが自分の一部になっていくのです。 スポーツ用語で「イップス」と言われるものがありますが、これも恐怖学習の一種です。テニスの試合中、大事な場面でサーブを失敗した。そのときの恐怖心や緊張で、大事な場面でラケットを振れなくなったりする選手は多くいます。 誰しもそれぞれ、何らかの苦手意識を持っています。 たとえば、仕事でうまくいっても、恋愛がうまくいかない。特定の作業や教科だけに苦手意識がある。あるタイプの人が苦手だったり、特定のシチュエーションや場所だけがなぜか苦手ということもあるかもしれません。 どんな人でも、うまくいく分野とうまくいかない分野がありますが、ほぼ確実なのは、うまくいかない分野ほど、苦手意識が多いということです。 もちろん、人によっては、生まれつき苦手なものもありますが、私がこれまで2万人以上の人を見てきた限りだと、こうした「苦手意識」の約9割以上は、後天的な脳の恐怖学習から生まれたものだったことがわかっています。
西 剛志(脳科学者)