多くの人が誤解している「性格の正体」…ポジティブ思考、ネガティブ思考をつくる「脳の2大性質」
「快感学習」で性格が変わるメカニズム
このことを理解するために、一つ想像してもらいたいことがあります。 あなたは、勇気を持って新しいことにチャレンジしてみました。そして、いざやってみたら、思いがけず「大成功」しました。とても大きな喜びを感じます。 次も新しいことにチャレンジしてみたら、再びうまくいってお金まで入ってきました。自信がついたあなたは、さらに新しいことをやってみますが、やればやるほど成功して喜びを感じます。 すると、あなたは「新しいことにチャレンジすること」をどのように感じるでしょうか? このとき多くの人が「新しいことにチャレンジすること」=「よいこと」だと脳の中で結びつくため、「チャレンジは楽しい!」と感じます。 これが「快感学習」です。脳の中で「新しいことにチャレンジ」=「快感」という学習が起きるため、新しいことにチャレンジすることが好きな性格だと思えるようになるのです。 実際はもっと複雑なメカニズムになりますが、簡単に説明すると、嬉しい出来事や体験をしたとき、脳の中で報酬系と呼ばれる「腹側被蓋野」と「側坐核」という場所が活性化します。人にほめられたり、お金をもらったり、何かいいことがあると発火する場所です。 自分の行動がうまくいったら大きな「快感」を感じるため、記憶の中枢の海馬も活性化しやすく、最終的に「大脳新皮質」の「長期記憶」に快感の記憶が蓄積されやすくなります。 これが「快感学習」のしくみです。 この「快感学習」の恩恵を最も大きく受けているのが、外向型の人たちと言われています。
外向型がポジティブ思考になりやすい理由
外向型は脳の報酬系が活性化しやすいため、小さな出来事でも快感を感じやすく、快感学習をしやすいことがわかってきています。 たとえば「人前で話したら、ほめられる」と、「人前で話す=楽しい!」という快感が内向型よりも大きく感じられるため、もっと人前で話したくなる性格になります。 「また楽しいことがあるかも」と、もっと積極的な行動をしたくなっていきます。 しかも、外向型は内向型ほど恐怖学習をしにくいと考えられています。なぜなら、深く考えないため、嫌なことが起きても扁桃体があまり活性化しないからです。 ・外向型=快感学習が多い+恐怖学習が少ない→前向きな性格になりやすい こういったしくみで、外向型の人は一般的に明るい性格がより強化されていきます。 一方、内向型の人だけでなく一般的に恐怖学習をしているとき、脳の中では、何が起きているのでしょうか。 不都合なこと、いやなこと、ひどいことを言われた……そういうことが起こると、脳にある「扁桃体」という場所が発火します。扁桃体は、別名「情動の中枢」とも呼ばれ、不安・恐怖・悲しみ・怒り・イライラなど、マイナスの感情を司る大切な部分です。 この扁桃体からのイヤな気持ちが大きいほど、その刺激が海馬に伝わり、長期記憶に保存されます。何度もイヤな気持ちを感じることでも海馬が活性化するため、より長期記憶へと移行していきます。