米国人の1割が親子断絶 なぜ疎遠な家族は増えているのか
絶縁された親は、理由がわからないと訴える
ネット掲示板に集う「子どもと疎遠になった親たち」の多くは、なぜ子どもから縁を切られたのかわからないと訴える。だが、踏み込んで話を聞くと、たいてい子どもたちは理由を説明しており、にもかかわらず親たちがその理由を突っぱねたり十分に理解していなかったりする。 「うちの息子たちはいつも、私のメールに返信せず、電話も留守番電話に切り替わる。たまに電話に出ても、ほとんど喋らない。息子たちは私をひどい人間だと非難するけれど、具体的に何をしたせいなのか詳しく教えてはくれない。説明することもあるけれど、何のことかわからない。少なくとも私には」と、ある匿名フォーラムの投稿者は述べている。 こうした親たちは、かつての感情的経験を忘れ去り、自分が受けた批判をシャットアウトして、結果的に子どもたちの怒りだけを記憶にとどめ、具体的な理由を忘れてしまっているのかもしれない。 ■2. 未解決の家庭内対立や裏切り 成人した子どもたちが親と縁を切るもう一つのよくある理由が、裏切られたという根深い感情だ。たとえば、親の離婚や、再婚して新しい家庭を築いた際におろそかにされたなどの状況から生じる。以前は愛し慈しんでくれた親が、もはや自分のことをそれまでのように大切にしなくなったと感じるのは、胸が張り裂けるように悲痛な経験だ。 2021年に学術誌Journal of Social and Personal Relationshipsに掲載された論文によれば、親が結婚生活をずっと続けている家族の関係は、再婚や離婚をした場合と比べて、安定を保っている。親子が一度疎遠になった場合も、のちに和解する確率が高い。安定した愛着関係は、和解に欠かせない要素だ。 成人した子どもたちは、家族関係のなかで、利用された、あるいは操られたという感覚をもつことがあり、これもまた怒りの源泉となり得る。 「連絡を断つことは、私にとって本当に難しい決断だった。でも、もう(父という)ナルシシストをおだてなくて済むと思うと心が晴れた。父は、本当は欲しくもないのに私の親権を手に入れ、ずっと私を私物化して、母との対立軸で私を手駒として使った。父は、母を苦しめたかっただけなのだ」と、あるレディットユーザーは告白している。 研究によれば、父親と疎遠になるケースは、母親と疎遠になるケースよりも多い。親と疎遠になった経験がある人のうち、81%は母と和解したと答えたが、父と和解したと答えた人は69%にとどまった。