19センバツ星稜 第2部・頂点への戦力チェック/番外編 センバツ後へ 力養う /石川
<第91回選抜高校野球> ◇真っすぐで三振を 芳賀大樹投手(2年)/スライダーで決める 伊藤駿介投手(2年) 奥川恭伸選手(2年)ら星稜の主力4投手の昨秋の公式戦防御率は、109回2/3で1・07。抜群の安定感は、他の投手にとって高い壁になっていることの裏返しでもある。秋に出場登録されながらセンバツ行きがかなわなかった芳賀大樹、伊藤駿介の両2年生投手は、苦い思いを抱えつつ、春以降を見据えて力を蓄えている。 黄色のユニホームをまとううれしさと、緊張感--。芳賀投手は相反する感情を短い間に経験した。金沢錦丘とまみえた、昨年9月の秋の県大会2回戦。6-0の九回に登板したが、制球が定まらず2四球を与えて降板した。「自分にとって初めての公式戦。ペースを乱された」。悔しさを挽回する機会はなく、以降はマウンドが遠かった。 明治神宮大会でメンバー入りした伊藤投手は、登板機会なし。広陵(広島)を始め、名だたる強豪をきりきり舞いさせる奥川投手は「輝いていた。ベンチで見ていても頼もしかった」。同学年にただあこがれているだけではいけない、と自戒する機会にもなった。 ◇ ベンチ入りの4投手は、いずれも中学時代に全国優勝を経験しているのに加え、150キロの直球を誇る奥川投手に制球力がある荻原吟哉投手(1年)と、それぞれの「色」がはっきりしている。芳賀投手も伊藤投手も、自らの役割を自答する日々だ。「奥川ほどの球速はないけど、真っすぐで三振を取りたい。球もそうだけど、試合中に心を制御するのが課題」と芳賀投手。伊藤投手は「直球で組み立て、最後は決め球のスライダーで相手を打ち取りたい」と理想を追う。 「2年間で悔しい思いしかしていない」と、芳賀投手は胸の内をさらす。打撃投手などベンチ入りメンバーの補佐を務めながら、伊藤投手は「同時進行で(気持ちは)春以降に向かっている」。今年のチームは全国制覇を目標に掲げる。頂点を取ったとしても、歓喜の輪の中にいられなければ、きっともどかしいだろう。最後は笑って高校野球を終えたい。今は仲間たちの快進撃を願いながら、ともにグラウンドに立つ日のことを思い描いている。【岩壁峻】=おわり(題字は星稜OB・真弓将さん)