「Google検索使いこなす子供」に潜む“大きな問題” 検索で出た答えは正しい?若者に必要な視点
■ネットで調べて不完全な答えを出す子どもたち 例えば「なぜSNSは流行したのか考えてこよう」という問いを出したとします。 これに対して、生徒がGoogleで調べると、「SNSの利用目的は、知人の近況を知るためと回答する人が多い」ということが書いてあります。生徒はこれをコピーアンドペーストして、「Q:なぜSNSは流行したのか? A:知人の近況を知りたいから」と答えてしまうのです。 言うまでもなく、この答えは不完全です。知人の近況を知りたいだけなのであれば、ほかの手段があるかもしれませんし、それ以外の理由だって考えられるはずです。
ここで書かれているのは「利用目的」であって、「なぜ流行したか」ではないですよね。聞かれていることと、少し違いますね。それなのに、「ネットで調べて、そう書いてあるから」という理由だけで、これを答えにしてしまう学生があまりにも多いのです。 なぜ、こういった「簡単な答え」に満足してしまう生徒が多いのでしょうか。 その理由の1つには、生徒たちの頭の中に「タイパ」という考えがあるからなのではないか、と考えています。
『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』(レジー著)という本がありますが、この本で指摘されているとおり、最近の若者はタイムパフォーマンスに対する意識が高く、早送りが当たり前の文化になっています。 タイパを考えて、最短距離で、最高効率で物事を終わらせることがいい、という価値観が広がっているのです。 今の中高生もこうした価値観に影響されており、「受験合格のためには、これらの参考書をこなすのが最短ルート」といった考えをもつ生徒も増えてきています。
「問いに対して、すぐに答えがほしい」「早く答えを出したい」という感覚があり、だからこそ1つの問いに対して粘る、ということがだんだん難しくなってきているのではないか、と。そうした状況は、大きな問題なのではないかと私は思うのです。 これは私の持論ですが、生きていくうえで「答えのない問い」に対して考える時間を持つのは、とても重要になってくると思います。「自分はどう生きるべきなのか」「どんな進路に進んでいくべきなのか」「幸せになるにはどうすればいいのか」。