女性の更年期問題は、いまだに仕事の場でタブー視されている?理解が進まない理由とは?
更年期を迎えた女性の働き方については、英米ですでに活発な議論が行われているものの、フランスではようやく問題が認識されるようになったばかり。適切なサポートがあれば、この時期の女性もいきいきとパワフルに働けるはずだ。フランスの「マダムフィガロ」誌が、この問題に詳しい研究者、レティシア・ヴィトーにフランスの状況を聞いた。 いま続々と明かされる、ハリウッドセレブたちの「更年期」 少し前なら誰も想像しなかっただろう。更年期が女性のエンパワーメントの新たな焦点になるなんてことは。多くの女性が苦しむ更年期に対する人々の認識を変え、キャリアを積んだ女性たちが最も活躍できる時期に企業がもっとサポートをすべきだという考えがそこにはある。これは大きな課題であり、米国ではアンジェリーナ・ジョリー、ナオミ・ワッツ、グウィネス・パルトロウといったハリウッドスターが自らの体験を声高に語っている。彼女たちは自信の喪失や日々の不調とどのように向き合い、対処してきたのか。ミシェル・オバマもスピーチでよくこの話題を取り上げている。英国でも、多くの女性ビジネスリーダーがこの問題に強い姿勢で臨み、労働時間の調整や知識の普及を企業に求めている。
フランスの現状は
英米メディアもこの問題に積極的だ。ジャーナリストのロレイン・ケリーは番組で自らの体験を語り、リアリティ番組『ビッグ・ブラザー』の司会者だったダヴィーナ・マッコールはこれをテーマにした2本のドキュメンタリーを作った。TV局チャンネル4のCEO、アレックス・マホンは2019年、更年期に配慮した初の人事施策を自局で打ち出した。更年期問題に取り組む彼女たちは「更年期戦士」というニックネームで呼ばれる。彼女たちの主張は明快だ。適切なサポートがあれば、女性は50歳以降も能力を発揮し、精力的に働くことができる。 フランスでは2050年までに2人に1人の女性が更年期を迎える。だが議論は遅々として進んでいない。多くの女性が、人々の無理解のなかでひっそりと更年期症状に苦しみ、人生やキャリアにつまずく。人々の意識を高めて行動に移すよう呼びかける本がここのところフランスで何冊か出版されたが、それにしても具体的には何から始めればいいのか。労働問題の研究者であり、この問題に正面から取り組む数少ない専門家のひとり、レティシア・ヴィトーに話を聞いた。