前工程の半導体製造装置トップシェア、東京エレクトロンが後工程で定める照準
コータデベロッパ(塗布・現像)やエッチングなど、前工程の半導体製造装置でトップシェアを誇る東京エレクトロン。同社は近年、複数の後工程で新装置を市場投入している。チップの配線などが難しくなり、同社の前工程技術が生かせる領域が増えてきている。前工程の強みを生かせる領域に照準を定め、技術開発を進める。 【写真】東京エレクトロンのウエハーボンディング装置 東京エレクトロンの秋山啓一常務執行役員は「顧客から『アドバンスドパッケージング』の要望が増えている。課題の解決法を考えてほしいという提案を受けている」と話す。 そこで、同社が市場投入したのがウエハー同士を貼り合わせる「ウエハーボンディング装置」とウエハー端面をトリミングする「ウエハーエッジトリミング装置」だ。 ウエハーボンディングは違うプロセスで作った半導体を貼り合わせ、デバイスに実装する。同社の装置は3DNANDやロジックなどに加え、DRAMを複数積層する広帯域メモリー(HBM)において、DRAMを積層する際の仮接合で使われる。ボンディングの工程に必要な洗浄やプラズマによる活性化などに、高いシェアを持つ前工程と同じモジュールを用いており、「HBMの引き合いが強くなってからは、従来を数倍上回る生産をしている」と秋山常務執行役員はその活況ぶりを語る。 次世代HBMでも同様の技術が利用されることが予想され、シェア拡大を目指す。また、現在よりも密接にチップ同士を接続するハイブリッドボンディングは、HBMやロジック向けの開発に着手している。 ウエハーエッジトリミングはレーザーを使い、ウエハー端面を加工して歩留まりを向上させる。すでに顧客評価を始めており、量産準備を進めている。また、レーザーで接合した2枚のシリコンウエハーに対し、上部のウエハーと集積回路を剥離する装置も2024年中に市場投入する方針だ。従来必要だった純水の使用量を減らせることもメリットだ。ボンディング後の工程への装置を投入し、攻勢をかける。 秋山常務執行役員は「半導体の世界で全く新しい工程やプロセスを開拓する機会は、そうそうない」と指摘。そうした中でも、先端半導体は新たな構造や製造方法が考案されている貴重な市場であり「全社で見れば売り上げの規模は大きくないが、プライオリティー(優先順位)を置いて開発していく」と力を込める。東京エレクトロンは商機を確実につかむため顧客と協力し、アドバンスドパッケージングを深耕する。