【コラム】不調セルジオ・ペレス、レッドブルが今後下すべき“真の選択”。乾坤一擲……運命を決める次なる2戦
ペレスは今後の2レースが自身の将来にとっていかに重要かを知っている
レッドブルがコンストラクターズタイトル連覇に向けて最善策を決めるXデーはまだ先だ。しかしその瞬間は刻一刻と近づいている。 ペレスの契約に含まれているパフォーマンス条項がサマーブレイクを区切りとしていることは広く報じられている。加えてレッドブルはペレスがシーズン開幕当初の調子を取り戻せるような何かが見つかることを望んでおり、それ以前に何らかのアクションを起こす可能性は低い。 しかしシルバーストンで行なわれるというレッドブルRB20でのフィルミングデー/空力テストにて、ローソンがシニアチームでのF1参戦に対応するに必要なポテンシャルを備えているという兆候を示せば、チームの意思決定プロセスに影響を与えるかもしれない。 フィルミングデーのため、今回ローソンに与えられる走行距離はわずか200km。しかし昨年のイギリスGP直後のピレリの居残りタイヤテストでレッドブルがリカルドを起用してF1復帰に繋がったように、ローソンが本命候補かどうかをチームが判断するに十分なデータが得られるはずだ。 そしてペレスは、ローソンがテストで集めたデータをもとに、サマーブレイク前のハンガリーGPとベルギーGPへ挑む。そこでフェルスタッペンと一定のタイム差に留まること以上に、苦境を脱したことを大量得点という形で証明する必要がある。 フェルスタッペンがイギリスGPで使用した新型フロアを手に入れれば、ペレスにとっても後押しになるだろう。ただ、それがどれほどの改善をもたらしたかについては、まだ謎が残っている。 レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、イギリスGPの予選後にSky Germanyのインタビューに対して「6ポイント(のダウンフォース)で、0.05秒も値する」と語った。 しかしホーナー代表は、この数値について尋ねられた際「どうやってヘルムートは知ったんだ?」と答え、こうも語った。 「まず、数字が間違っていると思う。我々は他チームよりも開発期間が短く、(開発)カーブの頂点にいることは周知の事実だ」 ペレスは今後の2レースが自身の将来にとっていかに重要かを知っており、伸るか反るかの勝負になるだろう。 レッドブルがコンストラクターズ首位の座を固めるために必要なポイントを獲得できれば十分かもしれない。そしてパフォーマンス条項として、サマーブレイクの時点でペレスがフェルスタッペンに対して100点以上差をつけられた場合、レッドブルは契約を解除する権利を持っているが、ハンガリーとベルギーでペレスが好調を見せれば、レッドブルはペレスがベストな選択肢であると再認識するかもしれない。 しかしペレスが再びつまずき、マクラーレンやメルセデスがランキングで接近すれば、レッドブルはドライバー交代を余儀なくさせられるだろう。 感傷や忠誠心を意識の外へ追いやる必要がある。F1チームを運営するということは、いい人であることではなく、勝つことなのだ。ペレスは次のレースでプレッシャーを全て受け止め、ここ数レースでは見られなかったパフォーマンスをどうにかして引き出さなければならない。 「契約に関しては、自分がどこにいるのかは分かっている」 イギリスGPの後ペレスはそう語った。 「それを気にするわけにはいかない。次の2週間に、集中する必要があるんだ。それが最優先事項であり、チームと共に、この難しい時期から抜け出す必要がある」 ただレッドブルとして残る疑問は、ペレスが困難な時期を脱したとしてそれが解決策になると感じられるかどうかということだ。既にそうではないという見方もある。
Jonathan Noble