PK戦を制した南葛飾が城東を下し、1次予選突破 「最後は選手の底力」南葛飾・水上竜一監督の狙いと想定外
第103回全国高校サッカー選手権東京予選の1次予選ブロック決勝が9月16日に都内の2会場で行われた。 【フォトギャラリー】都立南葛飾vs都立城東 駒沢補助競技場での第2試合は都立・南葛飾と都立・城東が対戦。試合はスコアレスドローのまま、前後半終了。10分ハーフの延長戦でも決着つかず、PK戦へ。両チーム2人目まで成功した3人目。先攻の南葛飾が成功した一方、後攻の城東はバーに当ててしまい失敗。その後、5人目まで成功させた南葛飾がPK戦を制し、2次予選に駒を進めた。 南葛飾にはある狙いがあった。 「前半で勝負を決めようという気持ちでした」と主将FW10齋藤光輝(3年)と明かしたように前半から勝負に出る腹積もりだった。 「城東さんは力があるチームなので先手を取りたかったです」と水上竜一監督。そのため「最初からスピードのある選手を起用する戦い方をしました」と出し惜しみしなかった。 指揮官のいうスピードのある選手、そのひとりが右サイドから何度も相手陣内に進入し攻撃の起点となったMF14伊藤雷(2年)。「いつでも替わるつもりで前半から全力で飛ばしてました。チームのために走ろうと決めていました」と腹をくくっていた。 前半は想定通り、南葛飾のペースで進み、いくつも決定機を作ったが、そう簡単にはいかない。 「予想以上に粘られて、苦しい試合になりました(水上監督)」と想定外も。 城東GK1松田和也(1年)のナイスセーブを含めた相手守備陣の踏ん張りとともに、南葛飾は肝心なシーンでシュートの精度を欠く、あるいはミートしたにも関わらず、あと数センチとシーンという運のなさ。 迫れども決められず…。 南葛飾GK1小島陸和(3年)は「前半は攻めていましたが、後ろから見て、決めきれないのはいつも通りですが…。城東さんのカウンターは速いのでDF陣と一緒に常に準備はしていました」と警戒は怠らず、前半19分の連続攻撃、30分、パスミスからのピンチを見事、防いだ。 勝負に出た前半が無得点で終わった南葛飾。後半は城東とのカウンター合戦の様相を呈していく。ひとつの攻撃が終わると中盤を省略しロングキックで前線へ。そして、再び拾って、ボールは相手陣内へ。ただ、双方、PA付近まで近づくものの、味方の人数が揃わないなど、攻撃の先細りは否めず、個人で打開をしようにも相手守備陣に阻まれる。膠着状態が続くのも無理はなく、歓声とため息が交差する100分間だった。 一方、ある種ノーカードの応戦でも無得点のまま、PKまでもつれたのは、互いの特長を引き出しあう、相性の良さのようなモノがあるのかもしれない。 「(城東とは)この4年間で4度目の試合。いつも劇的な試合になります。同じ地区のライバルと言いますか、お互いに高めあえる存在」と水上監督。聞けば過去、城東とは5対4の打ち合いを制した試合もあったそうだ。
「(南葛飾のユニフォームには)キャプテン翼の翼くんがエンブレムにありますが、ホントに漫画みたいな展開で。狙ったわけではないですし、楽に勝てれば越したことはないですが、いつも劇的な展開になります」 それでもPK戦で勝てたのは「最後は選手の底力。予想以上にやってくれました」と水上監督は選手たちを称えた。 (文・写真=佐藤亮太)