【福島記念・生情報】名より実を取るのが指揮官のチョイス ホリー・ドイル騎乗の8歳馬サトノエルドールに妙味!
[GⅢ福島記念=2024年11月10日(日曜)福島競馬場、芝2000メートル] 先週のGⅡアルゼンチン共和国杯ではハヤヤッコ(10番人気)が優勝。同レースにおける8歳馬の勝利は1985年イナノラバージョン以来39年ぶり、グレード制導入後では2頭目の快挙となった。勝因は状態、展開、鞍上の好騎乗など複合的であろうが、根源的には〝勝てるレース〟を選択したことこそが最も大きいといえよう。 アルゼンチン共和国杯出走時点での出走馬決定賞金はメンバー中、最高額の9350万円。これを前週のGⅠ天皇賞・秋の特別登録馬(17頭)に当てはめると、ステラヴェローチェ(1億50万円)に次いで14位だった。出走可能だった大レースに参加する名誉よりも、〝実〟を取る決断が功を奏したのだ。実際にGⅠに挑んだ春の大阪杯が12着どまりだったことも、冷静な判断を後押ししたのだろう。 指揮官・国枝調教師の〝勇気ある撤退〟は過去にも成功実績がある。マイネルキッツは6歳時の09年に3200メートルが舞台の天皇賞・春でGⅠ初制覇を達成。翌年の同レースも2着と好走したが、中距離GⅠで馬券対象に絡むことはなかった。そこで、11年秋シーズンはGⅡ京都大賞典(7着)の始動からGⅠをパスし、GⅡステイヤーズS(3600メートル)へと駒を進めて快勝。ハヤヤッコの13年前にも8歳馬にGⅡタイトルを奪取させたのだ。
ベテラン中のベテランが波乱の主役に
天皇賞・秋に特別登録行いながら回避を選択したサトノエルドールも、やはり8歳馬。もし参戦していたとしても、レース上がり33秒7という究極の決め手比べに対応できたとは考えにくい。一方、同じ東京2000メートルが舞台でも3着好走の前走・オクトーバーS(5ハロン通過58秒3)のレース上がりは35秒3。老いてなお衰えのない持久力がフルに生きる舞台は、小回りゆえにサバイバルレースとなりやすい福島2000メートルに他ならない。 輸送前日の8日(金曜)は、美浦坂路で4ハロン62・3ー45・6ー14・8秒と大きめのキャンターを消化した。「8歳という年齢は感じさせないね。馬は元気いっぱいだよ」と国枝調教師。「それに楽しみにしているのがドイル(28歳・イギリス)の手綱さばき。小回りコースでは、去年もいい騎乗をしていたから。うまくコースロスなく回ってきて、ゴール板で少しだけ他よりも前に出てくれれば」とレースをシミュレートした。淀の女王決戦は唯一の3歳馬レガレイラが注目を集めるが、みちのくではベテラン中のベテランが波乱の主役を演じる。
東スポ競馬編集部