柔道・橋本壮市 海外の選手に負けない身体づくり トレーニングを取材!
橋本壮市選手は柔道日本男子で史上最年長の日本代表としてパリ五輪に挑む。世界の第一線で長年戦い続ける32歳の肉体はいかにして作られたのか。2017年の世界選手権で初優勝したものの、海外の選手に力負けしていることを実感し取り入れたというサンプレイでのトレーニングを取材した。 【写真】橋本壮市選手のトレーニング 発売中のウエイトトレーニング専門雑誌『IRONMAN』に掲載の「橋本壮市 海外の選手に負けない身体づくり/取材・文:藤村幸代」より内容を一部抜粋してお届けします(全内容はIRONMAN2024年2月号でお読みいただけます)。
――追い込むためにサンプレイを紹介してもらったとのことですが、身体づくりに課題を感じていたり、何か切実な理由があったりしたのでしょうか。 橋本 2017年の世界選手権の時に、海外の選手に比べて力負けしていると感じて。身体も一回り大きくしなくちゃいけないと思いましたし、タフな身体もつくらなくちゃいけないと思ったことが大きかったですね。 ――では、サンプレイでもまずは筋肥大をと? 橋本 そうですね。(身体を)大きくしたいとか、海外の選手に負けない身体をつくりたいと相談して、ベーシックな種目を中心にメニューを考えていただきました。でも、最初の正直な感想は「続くかな」と(苦笑)。当時は僕もまだ26、27歳くらいでしたし、筋肥大を狙ってひたすら追い込むトレーニングばかりやっていたので、とにかく物凄くハードだったんです。 ――トレーニングの成果を実感できたのは、いつ頃ですか。 橋本 通い始めて1、2年ほど経った頃だったか、気づいたら力もついていたし、持久力も上がったと実感できました。2019年、2020年あたりには、もう海外の選手に力負けは絶対しないなという身体にはなっていましたね。 ――試合でも順調に結果を残し、五輪代表選考の時点で世界ランク1位だったものの、東京2020オリンピックでは惜しくも出場は叶わず。この決定を受けて、すぐに次のパリ大会に向けて気持ちを立て直せましたか。 橋本 いえ。練習、トレーニング、私生活︙︙本当に全てを懸けて東京2020オリンピックという舞台で試合をすることを目指していたので、やはりすぐには立ち直れませんでした。でも、気持ちも身体もまだまだ世界と戦える今の状態でやめてしまうのはもったいないと、本当にたくさんの方に言っていただいて。オリンピックというよりは、とりあえず次の目標である世界選手権に向けてやってみようと気持ちを入れ替えて、また練習を始めました。実はサンプレイにも、落選してからしばらくは行けない時期がありました。 ――やはり気持ちの面で足が向かなかった? 橋本 また(柔道を)やるんだろうなと自分では分かっていましたが、それでもやっぱりまだ身体が動かないというか。サンプレイに来たら、すぐ追い込まなくちゃいけないし、やはり相当の覚悟が必要なんです。それでも、何カ月後だったか、中村(定雄・チーフ)トレーナーに連絡して「また次に向けてよろしくお願いします」と伝えて、改めて目標設定をした上でトレーニングを再開しました。 ――次のパリ五輪に向けて、身体づくりに関しては新たにどんな目標設定をしたのでしょうか。 橋本 やはり、まず年齢のことがあります。落選した時は30歳手前で、その年齢からオリンピックを目指した方は歴代の柔道家でも数人しかいません。そうしたことも踏まえて、今の筋力を維持しながら、なおかつ、この筋力で動けるような身体をつくるためのトレーニングにしたいと中村トレーナーに相談して、メニューを組んでもらいました。
取材:藤村幸代