VW「Tクロス」はカッコつけてないけどカッコいい車!? 識者3名が徹底解説!
帰ってきた愛されキャラ
「カッコつけてる」or「カッコつけてない」×「カッコいい人」or「カッコ悪い人」の組み合わせで、最悪なのは「カッコつけてる×カッコ悪い人」だろう。 難しいのは、「カッコつけてる×カッコいい人」と「カッコつけてない×カッコいい人」のどっちがカッコいいのか、というところ。これは人生観、生き様の問題だから、甲乙つけがたい。 Tクロスをこれに当てはめると、間違いなく「カッコつけてない×カッコいい車」だ。 誤解なきよう付け加えると、内外装ともにデザインにはこだわっている。ただし、顔もボディサイドも内装も、ピシッと直線基調。 ウネウネさせたり、ギラギラさせるのではなく、削ぎ落としたシンプルな機能美。身だしなみと清潔感で勝負するタイプだ。 正直な話、ここ最近のVWはちょっと元気がなかった。電動化と環境対応、デジタル化、自動運転、それにモデルラインナップを含めたブランド戦略など、歯車がうまく噛み合っていなかった。 けれども新型Tクロスは、運転支援システムの「トラベルアシスト」が全グレードに標準装備されるなど、新しい流れにしっかり対応している。実直で質実剛健、だからこそお洒落。愛されキャラのワーゲンが帰ってきたのだ。
モータージャーナリスト サトータケシ フリーランスのライター/エディター。トヨタのランクル“250”の広報車を借りたときのこと。「尾行して場所を突き止めて、夜中に盗みに来るから気をつけろ」という知人からのアドバイスにビビって、試乗後、すぐに返却。
この出来なら首位返り咲き!?
VWのSUV戦略は痒いところにも十分手が届いている。そのことはボディサイズ(全長)を見ても明らかだ。 上から順にティグアン4.5m、Tロック4.25m、Tクロス4mちょいと、松竹梅、実に見事なまとめ方で、互いにカニバることなくいずれも人気があるというからスゴい。VWのショールームに行けば好きなサイズが必ず見つかる、というわけだろう。 Tクロスは23年こそ改良直前で、輸入SUV販売台数においてTロックの後塵を拝して2位だったけれど、それ以前は3年連続で1位。今回マイナーチェンジして、顔やお尻のデザインがだいぶ変わったので、たちまちトップを奪い返すであろうことは容易に想像がつく。 Tロックが背の高いゴルフなら、Tクロスは背の高いポロ。要するにポロも売れてゴルフも売れるという昔ながらの構図がSUV主流の今となっても繰り返されている。マーケットのニーズにしっかり応えた結果というわけだ。 Tクロスの乗り味(旧型)はというと背の高いポロそのもの。軽快な動きを見せながら、すべてを自分でコントロールできているという感覚を初めて乗った人にでも体感できる。 いや、それこそがVWという車の本質なのだった。
モータージャーナリスト 西川 淳 フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。所有する愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。
OCEANS編集部