「物流の働き方改革」で何が変わったか!? トラックドライバーの視点から2024年を総括
鳴り物入りで世間を騒がせてきた、「物流の2024年問題」であるが、この2024年に物流業界にどのような変化があったのだろうか。 【画像ギャラリー】トラックドライバーの視点で見た2024年の労働環境の変化(7枚) 物流業界は広く大きく、全体の動きを把握することはなかなかむずかしいが、トラックドライバーの立場から見えたものを中心に、この1年にどんな動きがあったのかを振り返ってみたい。 文/トラックジャーナリスト長野潤一、写真/トラックマガジン「フルロード」編集部・長野潤一
ドライバーには大きな変化なし?
「物流の2024年問題」とは、主にトラックドライバーの時間外労働(残業)の上限を年間960時間に制限する規制で、2024年4月1日に施行された。 それと同時に、拘束時間の上限は1日16時間から15時間に縮小、仕事と仕事の間のインターバル(休息期間)は最低8時間から最低9時間(11時間以上に努める)に変わった(長距離輸送の場合を除く)。 また、荷主(発荷主と着荷主)にも荷待ち削減の計画策定、付帯作業が発生する場合の契約書作成などが義務付けられる(物流関連2法改正)。 昨年、NX総合研究所から「何も対策をしない場合、2030年にモノの34%が運べなくなる」という予測が発表され、物流問題が一躍注目を浴びた。 ドライバーからすると、この1年、働き方に大きな変化は無かったと言ってもよい。というのも、規制の施行以前から運送会社がある程度の対策は取っており、年間総労働時間の上限も3516時間から3300(3400)時間へと数減らされたが、もともと上限には達していなったからだ。 ただし、通常16時間で1往復できた仕事が、帰庫目前で15時間の上限に達し、9時間の休息を挟んで2日運行になってしまうなど、体がかえってキツくなってしまうといった矛盾点はある。 ただ、配車の現場からは「傭車運賃が上がった」「クルマがつかまらない」という声が聞こえる。物流の世界は立場によって見え方が違っているようだ。