水道橋博士が語る景山民夫の魅力を復活させる秘策とは 「迷惑ユーチューバーのような見方をされる(笑)」
「ボクは、笑いの作家で行動主義者であったのは、立川談志師匠の弟子であったことも大きいと思っているんです。時代を経るごとに物書きや芸人対する社会的言動への期待値が減ってきているでしょ。時代は新しいおとなしい書き手にどんどん入れ替われてしまいますよね。読書人そのものも減ってきていますし。でも景山さんのエッセイは何度でも読み返したくなる魅力があるし、教養のある人が真剣にふざけたことをするっていう態度も面白いと思うんですよ」 そう示したうえで、こんな独創的なアイデアを語った。 「だから、ボクも景山イズムを継承する者として、まだまだやりたいことはたくさんあるんです。絶対にやらないとは思うけど、とある宗教団体の信者になって政治家としてもう一度立候補するとか。これは政教分離の矛盾を世間に考えさせる表現なんですけど。あと離婚して四畳半から生活をスタートさせてみるとか。性転換するとか。もちろんやらないですよ(笑)。いっとき突然、女装するのはNHKの生放送でもやりましたけどね。石原慎太郎的な〝男らしさ〟に抗議してね。でも、半年続けてもボクは美輪明宏のように思われたいのに志茂田景樹の亜流としか思われなかった(笑)。ただ、もう四半世紀前の話だけど、赤瀬川原平さんの〝偽千円札裁判〟をパクって〝偽免許証事件〟(1996年)を起こして、有罪になって一年の謹慎したりしたけど、そういうのが今の時代、迷惑系ユーチューバーのような見方をされるでしょ。へずまりゅう扱いになるの(笑)。それが内なる表現方法であるとか、作家的な行為とはわかってくれないでしょうけどね」 突き抜けた文才と生きざま。死後30年近くが経った今も、景山の功績は神がかっていると言えるだろう。 (橋本未来)
橋本未来