【「定額減税」理解できていますか?】対象者は?本当に家計は助かる?…6月からのスタート前におさらい!
扶養家族が妻と15歳以下の子ども一人の場合、12万円の減税に
とかくわかりにくいと悪評の「定額減税」。 物価高騰対策として実施されるはずだったのに、いつになったら手元にお金が入るのか?と考えてしまいますね。 そもそも「減税」ですから、給付金ではありません。 給与所得者なら、給与から天引きされる所得税と、6月から引かれる住民税が「安く」なり、手取りが増えるという仕組みです。 減税の対象になるのは令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下)の人。控除額(税金から引かれる額)は、次の金額の合計額です。 まずは所得税から。 1. 本人 3万円 2. 同一生計の配偶者または扶養親族1人につき3万円 扶養家族が妻と15歳以下の子ども一人だった場合、合計で9万円の減税となります。 次に住民税。 1 .本人 1万円 2. 同一生計の配偶者及び扶養親族1人につき1万円 こちらも、同じ条件なら合計3万円となり、所得税と合わせて12万円の控除となるわけです。
「控除」はとてもややこしい!
しかし、控除のややこしさは、毎月払っている税金から引かれるということ。 6月1⽇以後に支払われる給与等(賞与を含む)から対象になりますが、もし6月で減税しきれない場合は翌月も対象に。 住民税の方は、6月は徴収なしで、7月分から控除後の税額を11分割で特別徴収します。 12万円がどんと手元にくる、というのではなく、ちょこちょこと手取りが増える…というのが嬉しいのかというと、ピンときませんね。 しかも、給与所得者以外の自営業者などは、来年行う確定申告での控除になるとのこと。かなり先の話です。 なお、この減税額が本来納める所得税額・住民税を上回っており、定額減税しきれないと見込まれる場合は、市区町村が減税しきれない差額を給付するそうです。気になる人は、お住いの自治体のホームページで「調整給付」というキーワードで検索してみてください。 ここまで読んでも「?」という方は多いでしょう。 今や家族の形態はさまざまで、夫と扶養される妻と子供、というモデルだけでは語れません。フルタイムで働く妻は自分の給与からの減税となりますし、会社員の夫とフリーランスで稼いで確定申告している妻では控除の時期も異なってしまいます。そもそも物価高対策なら給付金の方が早いのでは?と突っ込みたくなります。 給与がちょっと増えたとしても、「じゃあ、その分食費に回そう」とは考えにくいもの。増えた分をなんとなく使ってしまうのでは…。なんだか、誰も得しない減税になりそうですね。 ──── 松崎のり子 Noriko Matsuzaki 消費経済ジャーナリスト 消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。