フランス債下げ拡大、10年物利回りは年初来高水準-銀行株は下落
(ブルームバーグ): 10日のフランス国債は大幅下落。10年債利回りは年初来の高水準に上昇した。マクロン大統領が前日の欧州議会選挙での大敗を受けて総選挙実施を表明したことに反応した。
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10年債利回りは一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して3.19%と、昨年11月以来の高水準を付けた。同年限のドイツ債とのスプレッドは54bpと、今年1月以来の大きさに拡大した。総選挙の結果がマクロン氏の改革実行能力に影響を及ぼすことが懸念されている。
フランス株式市場では指標のCAC40指数が一時2.4%安。BNPパリバやソシエテ・ジェネラルが大きく売られ、銀行株指数は9%安まで下落した。
ラボバンクのシニアマクロストラテジスト、シュテファン・クープマン氏は、マクロン氏の「勇気は否定しようがなく、それは認めるが、惨敗した後に賭けを倍にするような行動だ」と指摘。「マクロン氏のリスク意欲を投資家は共有していない」と述べた。
マクロン氏は年金や社会福祉制度、労働法の改革など長期的に経済成長を促す政策に重点を置いてきた。同氏の大統領就任以降、失業者数は有意に減少し、フランス経済は欧州他国よりも危機に対して底堅さを示してきた。
だが、同氏の手法に対して議会でも街頭でも抵抗が強まっている。2022年に議会で絶対多数を失ってからは、議会採決を回避する憲法上の手段を利用することなしに法律を成立させることが難しくなっていた。
月末に予定される総選挙では、分裂する会派が並外れた団結を示さない限り、マクロン氏が再び改革を推進するための明確な過半数を確保できる公算は小さい。それどころか、ルペン氏が過半数を握り、マクロン氏主導の経済政策を葬る機会になり得る。
ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループの欧州担当チーフエコノミスト、モヒト・クマール氏は「右派が議会で過半数をとれば、あらゆる改革案は阻止されるだろう」と述べ、「フランスの財政見通しも既に弱い」と付け加えた。同氏はフランス債に対して弱気の姿勢を維持している。