肉や魚ではなく「観光」で勝負 ふるさと納税最下位脱却目指し、奈良県返礼品充実へ
令和5年度の奈良県と県内市町村のふるさと納税の寄付受け入れ額の総額が全国最下位だったことを受け、県は若草山焼きの特別観覧席や県内宿泊に使える旅行クーポンなど観光を目的とした体験型の返礼品を初めて設けた。税収が他府県に流出する中、返礼品の充実で寄付受け入れ額を増やし、最下位脱却を目指す考えだ。 総務省によると、5年度に全国でふるさと納税の寄付受け入れ額が最も多かったのは北海道(1654億9600万円)で、奈良県(35億5700万円)は最も少なかった。 県ではふるさと納税制度に伴う税収の流出が年々増大しており、5年度は6億6700万円(市町村分除く)のマイナス。このため県は、観光目的も含め約100品目の返礼品を順次追加し、寄付受け入れ額の拡大を図ることにした。 体験型の返礼品は、来年1月25日に若草山焼きを楽しめる奈良公園バスターミナル屋上の観覧席(先着150人)や県内宿泊施設の宿泊券・食事券など。物品としては、奈良酒飲み比べセットや吉野杉ブックカバーなどを追加した。 奈良県のふるさと納税は、文化振興や医療提供体制の充実、産業振興などさまざまな事業に活用している。県内に住む人も寄付することはできるが、返礼品は県外に住む個人に対してのみの贈呈となっている。 山下真知事は「奈良では肉や魚は返礼品にしにくかったが、『観光』を返礼品とすることができる」と期待を寄せた。