無謀かロマンか。かつて村田諒太に勝った38歳の佐藤幸治がプロからのアマ復帰第1号として東京五輪目指す
3月から本格始動した練習は日に3度。朝は自宅のランニングマシンを使って10キロから20キロ走り、昼はフィジカルトレーニング、夜は、日大、帝拳、用賀ボクシングジム・グローブス、JBスポーツ、ワールドスポーツ、法政大などを渡り歩いてスパーリングなどのジムワーク。急ピッチで失った体力と勘を取り戻す作業に没頭してきた。 母校日大の協力を仰ぎ、フィジカル面は、JBスポーツの山田武士トレーナー、技術面は、帝拳時代のトレーナーだったグローブスの葛西裕一氏にアドバイスを求めた。当初はスパーをするとクビ、腕、膝、肋骨、腰など、全身のアチコチを痛め復帰はスンナリとは進まなかったという。 「何度も吐きました(笑)。でも本格的にやって4か月ですが、やっと体が慣れてきたんでしょうね。痛い個所が少なくなってきました」 90キロ以上あった体重は、リミットの75キロを100グラム下回るまで落とした。まるで人が変わったような精悍さを取り戻した。 手ごたえはある。 「日々、強くなっている。今、一番いい練習をしているんです」 日大では、一つ階級が下のウェルター級で高校8冠を獲得、リーグ戦でも負け知らずの荒本一成と20ラウンド以上のスパーで拳を交え、「荒本はスピードもテクニックもアマのトップレベルです。僕はジャブを中心にしたボクシングですが、パンチは当たるし、荒本の隙もちゃんと見えています。これなら十分やれるという手ごたえはあります」と話す。 大学のリーグ戦を観戦するなどアマの現状も視察した。 「プロに行ったことでボクシングに幅も出ました。元々、パンチ力はあります。アマのルールも僕のときとは変わってジャブでぐらつかせるとポイントになりやすい。昔は大雑把でしたが、ガードも上げていますし、僕自身、細かいボクシングができるようになっています」 並外れたパンチ力に頼りパワー一辺倒だったプロ時代から、そのスタイルも変化。左ジャブからボクシングをするようになっている。