日本のAUKUS参画を期待しつつも「中国に配慮」するオーストラリアの事情
戦略科学者の中川コージが2月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。オーストラリアが日本に期待を示したAUKUSへの参画について解説した。
オーストラリアの副首相兼国防相が日本に対しAUKUSへの参画に期待を示す
オーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防相は2月18日までに、アメリカ、イギリス、オーストラリアの安全保障枠組みAUKUSの第2の柱である極超音速兵器や人工知能(AI)などの共同開発について、将来的な日本の参画に期待を示した。 飯田)「第2の柱」とありましたが、第1の柱は原潜の導入であり、ここへの関与は否定しています。
トップを出さず、中国にも配慮しながら日本とも連携を進めるオーストラリア
中川)いわゆる日本のメディア的な見出しで言うと、「中国を念頭に」というところが当然あります。出張ってくる中国をどう押さえ込むのか考え、AUKUSやクアッドなど、いろいろな枠組みがあるのでしょう。今回はAUKUSの話ですが、これについて中国はそれほど過剰に反応していません。 飯田)そうなのですね。 中川)発表したのも副首相兼国防相なので、序列の意識が染み付いている中国からすると、「トップが言わなければいい」というところがあります。その辺りはオーストラリア側もわかった上でやっているのだと思います。日本と具体的に詰めるため、両方に配慮しながら行う。中国に配慮しているのは、むしろオーストラリア側だと思います。最近は貿易も再開され、中国とは雪解けムードです。経済事情なども考え、オーストラリア側としても中国に対し「トップではない」と言い訳できる。日本とも「連携を含めて」というところがあるのだと思います。
クアッドが報道されない2つの理由
飯田)最近、あまりクアッドのニュースが出てこない気もします。 中川)インド外務省が毎年、定期的なレポートを出しています。そのなかでクアッドの扱いはありますし、日本との関係において、クアッドがコンテクストとして語られる場面も多い。決してインド側が忘れたわけではないでしょうし、重視しているところもあると思います。 飯田)重視している。 中川)具体的な協力ベースの報道があまり出てこない理由の1つに、モディ首相と個人的な関係があった安倍元首相を失った影響があると思います。また、総選挙が近いので構っていられないところもある。この2つの理由から、あまりクアッドの話が出てこないのではないでしょうか。