経営破綻からのV字回復 生協のコープさっぽろが見つけたビジネスチャンス 食と生活インフラを守る「社会貢献」
大見「北海道の過疎地域における移動手段の問題は非常に深刻です。その解決には相互扶助型社会になっていくしかありません。 ミーツの志はその解決策のひとつとなりえると考え、全面的にコープさっぽろがバックアップ。志は熱くても収支が赤字では、事業は存続できません。 その収支構造をどう構築していくか。ベンチャーキャピタル的な立ち位置で見極めながら、支援していきたいと思っています」 こういった新しいビジネスの広がりを応援する機運が生まれやすいのは、生協というブランドの持つ安心感や信頼感によるところが大きいのも事実でしょう。
生協として地域の生活・経済を支える存在に
大見「人口減少社会の中で、従来型の行政サービスを維持していくのは不可能です。そうなると地域住民がもっと自立参加型でお互いを助け合う相互扶助型社会にしてく必要あります。そこでコープさっぽろが果たせる役割は大きいものがあるはずです」 また、大見氏は今後の目標のひとつに、北海道で6次化産業を成立させることをあげます。 大見「北海道では1次加工品までがほとんどで、製造業は本当に少ないんです。1次産業の農林水産業、2次産業の製造業、3次産業の小売業までが一体化した6次産業を育成が必要です」 その施策のひとつとして、地域の生産工場系事業の支援もスタート。小樽のアイスクリームメーカーのさくら食品、札幌に本社があるアスパラガスの缶詰で有名なクレードル興農などの経営に乗り出しています。 大見「今後もこういった食品製造系の経営を任せたいという話があれば、前向きに引き受けていきたいと考えています」 北海道民の生活を食だけでなくインフラでも支え、北海道経済をリードしていく。その強い覚悟で挑むチャレンジが、日本にはこれまでになかった新しい生協を生み出していくのかもしれません。 構成・取材・文:久遠秋生 バナー写真提供:コープさっぽろ 図版作成: WATARIGRAPHIC デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)