経営破綻からのV字回復 生協のコープさっぽろが見つけたビジネスチャンス 食と生活インフラを守る「社会貢献」
大見「2015年に国連がSDGsを策定する会議を行ったときに世界の協同組合サミットに参加したのですが、そこにいるメンバーの半分がSDGsの答申書の作成起案に関わっていました。 それくらい社会の問題をどう解決するかを世界の協同組合陣営は考えているということ。 日本の生協も社会にただ還元するだけではなく、社会問題解決にどうコミットしてサステナブルな事業を行うことを目指さなくては行けないと痛感しました」
困りごと代行サービスや相互扶助型MaaSも
目線の先にあるのは、社会をどうするか。同じ生協と比べても、コープさっぽろの勢いは抜きんでています。そのチャレンジ精神の違いはどこにあるのでしょうか。 大見「ほとんどの生協は黒字経営ですが、そこで満足して現状維持に甘んじていると思います。変化がより激しくなっている今日の状況では、規模縮小を招きかねません。 そうではなく、地域のニーズを実現して役に立つことをしていくことで、生協も大きくなっていくべき。それが本当に組合員のことを考えている生協の姿だと思います」 本当に組合員のためになるサービスは何か。それを追求した一つのチャレンジが、地域の困りごと代行サービス事業「こまるとコープ」です。2021年に札幌を皮切りにスタートし、あらゆる困りごとの相談に乗るというのがこの事業です。 電球交換や庭の手入れのような、コープさっぽろで対応できるものは自分たちで、それ以外の困りごとには専門業者を仲介斡旋するというもの。例えば漏れ修理のような場合は、専門者を紹介し、困りごとを解決していきます。 また、2023年には厚真町で「共助型困り事解決プラットフォーム」を企画・運営するスタートアップのミーツを関連会社化。地域の「長屋家族」を目指し、困りごとの代行サービスや相互扶助型で移動手段を確保する新しい形のMaaS事業(※)をスタートしています。 (※)MaaS: Mobility as a Service。複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス。