田原総一朗、本音の親子対談…90歳になっても現役、親子円満のワケ
「朝生」の深夜放送を終えて
――田原さんは今年4月に90歳になり卒寿を迎えても、現役で活躍なさっています。その田原さんを約20年前からそばで支えてきたのが、三女の和田さんです。田原さんが今でも現役でいられる理由や、親子円満の秘訣についてお二人にお聞きしたいと思います。 まず、1987年の放送開始から、37年間にわたって司会を務めてこられた「朝まで生テレビ!」(以下、「朝生」)が、深夜帯での地上波放送を終了し、11月からは原則毎月最終日曜日の午後7時にBS朝日で放送されることになりましたが、今の心境からうかがえますか。 田原》深夜でないとできないことがあるから、ちょっと残念ですね。テレビ朝日の人たちが、高齢になった僕のことを心配してくれて、時間帯を移してくれたんですけど。 ――深夜はやっぱり自由ですか。 田原》相当に刺激の強いことをやっても大丈夫なんですよ。原発も扱ったし、別の特集で番組を始めておきながら、突然テーマを天皇制に切り替えたこともありました。日曜日の夜ともなるとさすがにね、ちょっと気をつけないと、と思います。 ――深夜放送は3時間もの長丁場でしたが、体力面での厳しさは。 田原》それはまったく問題ない! 僕は何もしていないことが一番苦痛で、ストレスを感じるんです。一番好きなことがテレビ番組をつくることで、ほかには趣味も何もない。ゴルフもしないし、麻雀もしない。仕事をしていればストレスもないし、元気なんです。 和田》本人はこういう調子なんですけど、やはり高齢なので、ヒヤヒヤすることはあるんです。「朝生」の収録日はテレビ朝日の人が気を遣ってくれて、いつも局の近くにあるホテルを確保してくれていました。終了後はホテルで寝て、翌日は「激論!クロスファイア」の収録などに臨んでいたんですが、一人でホテルに置いていくことに不安を感じていました。昼頃に起きると電話をくれるんですけど、トイレが近くて夜中に何度も行くので、転倒したりしていないかと電話をもらうまで不安な気持ちはありました。これからは終わったら一緒に帰れるので、私としてはだいぶ気が楽ですね。 ――それでも田原さんは自らの老いを感じることはありますか。 田原》もちろん、ありますよ。一番は忘れっぽくなったこと。 和田》あとはやっぱり以前の方が人の話を聞いていましたよね。昔は同世代より少し上の世代と話すことが多かったので、価値観が同じ中で話せていたこともあるかもしれません。 ――時間帯が変わることで、視聴者層も変わりそうですか。 和田》深夜帯の視聴者はラジオリスナーに近いところがあって、熱心に観てくれるからこそ、批判の声も遠慮なく上げてくれるところがありました。日曜日のゴールデンタイムの視聴者にどう受け入れられるかは、やってみないと分からないですね。 田原》批判は本当に痛烈だからね。 和田》田原を好きな団塊の世代の方々からは、「朝生は録画で観ても臨場感がなくてつまらない。かといって深夜から朝まで観るのは辛かったけど、これからは生放送で観られるから嬉しい」というお声もいただきます。加齢とともに生活サイクルが朝型に変わっていく方が多いので、午後7時からの約2時間は深夜帯に近い感覚かもしれませんね。