「自分の人生を懸けて“顔も知らない指示役”を支えることに」…巧妙すぎる闇バイトの“リクルート術”に迫る
闇バイトの「募集方法」もより巧妙になっているようだ。東京都の詐欺加害防止サイトで紹介されているケースでは「一件5万円」「高額収入」「DMで連絡」といったキーワードに注意するよう呼びかけられているが、多田氏は「闇バイトへの注意喚起が多くされるようになった結果、募集する側も『日給1万5000円』などと、あえて低い金額で募集するケースも出てきている」と警鐘を鳴らしている。 加えて、こうした犯罪では警察に捕まる多くが「実行役」のため、詐欺グループは常に人手不足となり、常に募集が行われている。こうした状況について、森永氏は「闇バイトに応募してしまう人たちは、美味しいところは全部指示役が持っていって、自分たちは“捨て駒”なんだと気づいたほうがいい。自分の人生を懸けて、顔も知らない指示役の人生を支えることの何が嬉しいのか。冷静に全体の関係図を俯瞰できるようになってほしい」と呼びかけた。 では、闇バイトの魔の手から家族を守るためにはどうすればよいか。金融リテラシーの啓蒙にも取り組んでいる森永氏は教育現場の“ジレンマ”について吐露する。 「非常に難しいことに、(闇バイトについて)比較的見抜けるリテラシーの高い子たちは真面目に(金融教育の)授業を受けていて、逆にお金の授業やゲームを『つまんないから(やらなくて)いいよ』と、全く興味を示さない子たちほど、(闇バイトに)手を染めてしまう傾向があるのでは」 そのため森永氏は、連日各社から行われている“報道”に意義があると語る。 「今年の頭から投資詐欺がかなり増えたが、様々なメディアが連日のように扱った結果、今では(投資詐欺の)件数がかなり下がっている。これは(報道が)ある種、啓蒙の役割を果たした。報じることで、若者が“案件”に応募する際に『あれ? これさっきニュースでやっていた闇バイトかもしれない』と、思いとどまるかもしれない。そういう意味でも、全て学校に任せるのではなく、報道が果たせる役割も大きい」 多田氏も「闇バイトについてはインターネットも含めどんどん注意喚起を行なっているが、後になって相談しに来る人はほとんど(注意喚起を)見ていない。インターネットは自分の興味があるものしか出てこない側面があるからだ。だからこそ、テレビなどで報道されることで、闇バイトについて知ってもらい、家庭で話し合いや相談ができるきっかけになる」と期待を寄せた。 (『ABEMAヒルズ』より)